ユニクロ、自社ショルダーバッグの模倣品販売で中国発通販サイトを提訴
2024/01/18 知財・ライセンス, コンプライアンス, 不正競争防止法

はじめに
“ユニクロ史上最も売れたバッグ”とも言われるラウンドミニショルダーバッグ。株式会社ユニクロは、そのショルダーバッグの模倣品の販売停止と損害賠償を求め、中国発のオンラインショップ「SHEIN」を提訴しました。
今回に限らず、これまでにも、日本企業が模倣品をめぐり海外で訴訟に発展した事例があります。模倣品が登場する背景などを探りつつ、どのような対策が取れるのか考察していきます。
主力商品を模倣され提訴
株式会社ユニクロは1月16日、SHEINブランドを展開するRoadget Business Pte. Ltd.、Fashion Choice Pte. Ltd.およびSHEIN JAPAN株式会社の3社を2023年12月28日付で東京地方裁判所に提訴したと発表しました。
SHEINらがユニクロの主力商品の一つであるラウンドミニショルダーバッグのデザインを模倣した商品を販売したことが、ユニクロブランドおよびユニクロの商品品質に対する顧客からの信頼を損ねており、不正競争防止法に違反するとしています。
訴訟でユニクロ側は、
(1)模倣商品の販売停止
(2)模倣品販売により同社が被った損害・約1億6000万円の賠償
(3)上記に対する遅延損害金の支払い
等を求めていますが、今回の訴訟が、ユニクロとして模倣品販売の運営会社を提訴する国内初の事例とのことです。
今回問題となったユニクロのラウンドミニショルダーバッグは、現在のユニクロの主力商品の一つとなっています。2020年に発売され、SNSなどで話題となったほか、世界各地のメディアに取り上げられるなどしたため、ヨーロッパや中国・日本などでも高い人気を誇っているといいます。
模倣品に悩む日本企業
正規品の模倣品・海賊版の流通は、現在、世界的な問題となっています。OECDが2019年に発表した統計では、同年の世界の模倣品・海賊版(インターネット上の海賊版を除く)の流通額は、最大4640億ドル(約50.6兆円)に及ぶ可能性があると推計されていました。これは、当時の世界貿易額の最大2.5%に相当する額です。
模倣品・海賊版の被害については、日本企業も例外ではありません。近年、日本企業の模倣品被害は、アジア、米国、欧州、南米、中東などにも拡大されていますが、背景には以下の理由があるとされています。
①中国で安価、比較的良質な模倣品が大量製造されている
②ECプラットフォームやフリマサイトなどネット売買で手口が巧妙化
③海外への輸送手段が発達し、模倣品を迅速・安価に搬送可能になった
海外の訴訟でキヤノンが模倣品巡り勝訴した事例も
こうした模倣品・海賊版の被害拡大を防止すべく、日本企業は国内外で訴訟を展開しています。
例えば、カメラなどで知られるキヤノン株式会社は、アメリカのECサイトでカメラ用バッテリー、インクジェットプリンター用プリントヘッドなどのキヤノン製品に類似した模倣品を発見。2022年4月、同社の商標権侵害を理由として、模倣品販売者(52セラー)を相手どり、米国イリノイ州北部地区連邦地方裁判所に商標権侵害訴訟を提起しました。
訴訟の過程で、被告のおよそ半数が同社の商標権の有効性を認め、模倣品の販売を直ちに停止することに同意しています。また、残りの被告は法廷での反論がなかったため、9月に裁判所から侵害行為の停止等を命じる判決が下され、キヤノン側が勝訴しています。
コメント
日本では海外からの模倣品の国内流入を阻止するため、税関での水際措置の強化なども図られていますが、依然として解決には至っていません。
インターネットで販売されている模倣品について、出品の削除要請を行ったり、知財保護プログラムに登録することで対策を取る企業もあります。
今後、世界的にさらなる被害の拡大が予想される模倣品問題。SHEINに対する訴訟がどのように進んでいくのか注視しつつ、自社での模倣品対策を慎重に検討する必要がありそうです。
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