新たな遺伝子組換え表示制度が4月1日より施行
2023/04/05   コンプライアンス, 法改正, 食料品メーカー

はじめに
新しい遺伝子組換え表示制度が4月1日に完全施行されるのをご存知ですか?
2019年4月に食品表示基準を改正が公布され、3月31日までは経過措置期間とされていました。
遺伝子組み換え表示とは
まずは、改正食品表示基準の遺伝子組み換え表示について説明していきます。
改正食品表示基準の遺伝子組み換え表示は、食品に使用されている原材料が遺伝子組み換え技術によるものである場合に表示を義務付けたものです。
具体的には、食品の原材料名の前に「遺伝子組み換え」という表示をすることが求められます。例えば、遺伝子組み換え大豆を使用した豆腐の場合、原材料名に「遺伝子組み換え大豆」と表示することが必要です。
一方で、表示の義務が免除されている遺伝子組み換え原材料もあります。
遺伝子組み換え技術を使わずに、天然の突然変異によってできた変異種を原材料とする場合や、遺伝子組み換え技術を使っていけれど、原材料が残留農薬基準を満たしている場合などです。
そのため、遺伝子組み換え表示には、任意表示と義務表示があります。
■義務表示
法律に基づき「遺伝子組み換え」と表示することが必要な場合。
前述した通り、遺伝子組み換え原材料を使用した食品では、原材料名に「遺伝子組み換え」と表示することが法律で義務付けられています。
■任意表示
食品メーカーが自主的に「遺伝子組み換えでない」と表示すること。
遺伝子組み換え原材料を避けたいと考える消費者需要に応えるために行われることがあります。
今回の制度改正で変わるのは、「任意表示」の方です。
変わる「任意表示」
大豆、トウモロコシおよびこれらを原材料とする加工食品について、「確実に遺伝子組み換えの混入がないもの」と「5%以下に抑えているもの」それぞれ異なる表記を行い、2段階に分けることになりました。
■これまで
分別生産流通管理をして、意図しない混入を5%以下に抑えているもの
→「遺伝子組み換えでないものを分別」「遺伝子組み換えでない」などの表示が可能
※遺伝子組み換え農産物と遺伝子組み換えではない農産物を生産・流通・加工の各段階で相互に混入が起こらないよう管理すること(そのことが書類等により証明されていることを要します)
■新制度
(1)分別生産流通管理をして、意図しない混入を5%以下に抑えているもの
→「適切に分別生産流通管理された」旨の表示が可能
(2)分別生産流通管理をして、遺伝子組み換えの混入がないと認められるもの
→「遺伝子組み換えでない」「非遺伝子組み換え」などの表示が可能
改正にあたって、企業によっては包装を新たにする必要などがあります。
改正後は、改正前の表示での包装を使用することはできません。
そもそも遺伝子組み換えとは
そもそも遺伝子組み換えとはどういったものなのでしょうか。
遺伝子組み換えとは、ある生物の遺伝子を人工的に変更することで、特定の性質や特徴を持った生物を作り出す技術です。
食品の分野においては、主に農作物に対して遺伝子組み換え技術が利用されてきました。
例えば今回の改正で焦点が当てられたトウモロコシや大豆などの作物に、他の生物から取り出した遺伝子を導入することで、収穫量の向上や、病害虫に対する抵抗性などの性質を改良することができます。
遺伝子組み換え食品には批判的な意見が多いのも事実です。安全性について懸念があるとする見方もあり流ため、多くの国で遺伝子組み換え食品に対する規制が設けられています。日本でも安全性に関する評価が義務化されていて、食品メーカーは、製品の安全性を保証するため、厳格な評価を行うことが求められます。
コメント
食の安全、安心に関わる制度改正。企業にとっては、4年の準備期間を経ての施行となりました。企業側は、表示変更の対象となる商品の把握や表示変更それ自体に対し、マンパワーや金銭的コストなどを負うことになりますが、食の安全への関心が高まっている昨今、違反時のレピュテーションリスクは相応に大きなものとなると想定されます。新制度への理解を深めると共に、自社商品との慎重な照らし合わせが重要になります。
【関連リンク】
消費者庁 遺伝子組み換え表示制度
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