10月から導入、出生時育児休業給付金とは
2022/08/12   労務法務, 労働法全般, 法改正

はじめに

 今年10月から改正育児・介護休業法が施行され、育児休業の分割取得と産後パパ育休(出生時育児休業)の制度が開始されます。またそれに伴い出生時育児休業給付金が受けられるようになります。今回は改正育児・介護休業法の10月施行分について見ていきます。

 

育児休業の分割取得

 改正育児・介護休業法の施行により2022年10月1日から原則として、子が1歳まで育児休業を分割して2回取得できるようになります(5条)。また1歳以降の育児休業の延長も休業開始日が1歳または1歳半に限定されておりましたが、このような制限がなくなり柔軟に開始日を設定できるようになります。さらに特別事情がある場合には1歳以降の再取得も可能となります。これにより夫婦で育児休業の取得期間をずらすことによって、交代で絶え間なく育児を行うことが可能となります。なお特別事情とは保育所の入所を希望しているにもかかわらず入所できない場合や配偶者が死亡した場合、配偶者が負傷や疾病、精神上の傷害により養育できない場合、離婚その他配偶者が同居しなくなった場合、6週間以内に出産する予定がある場合とされます(施行規則6条1号、2号)。

 

産後パパ育休

 今回の改正法施行により、男性は育児休業とは別に、子の出生後8週間以内に最大4週間まで休業を取得することができます(9条の2)。これは「産後パパ育休」(出生時育児休業)と呼ばれ、取得するには2週間前までに申し出る必要があります。これもやはり分割して取得することができ、休業中は原則として就業ができなかった育児休業制度と異なり、労使協定を締結している場合に限り合意の範囲で休業中も就業することができます。なお今回の「産後パパ育休」制度の導入に伴い、これまであった「パパ育休」の制度は廃止されることとなります。また産後パパ育休導入にともなって雇用保険法も改正され、休業期間中の給付として「出生時育児休業給付金」も導入されることとなりました。

 

出生時育児休業給付金

 上記のように男性は産後パパ育休を取得することができますが、その間は休業していることから会社から賃金の支払いを受けることができません。そこで新たに出生時育児休業給付金の交付を受けることが可能となります(雇用保険法61条の8)。支給要件は休業開始前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12ヶ月以上あること(ない場合は就業時間数が80時間以上)、休業期間中の就業日数が最大10日以下であることとされます。つまり休業開始日前の2年間に雇用保険の被保険者であった期間が12ヶ月以上であるということです。支給額は休業開始時賃金日額×67%×支給日数とされます。申請期間は出生日の8週間経過後の翌日から起算して2ヶ月後の月末までとされております。

 

コメント

 厚労省の調査によりますと、女性の育休の取得率が2008年の90.6%をピークにそれ以降も80%以上の高い水準を維持しているのに対し、男性の取得率は近年上昇しつつも2020年は12.65%とまだまだ高くはない状況と言えます。そこで2022年からは育休の分割取得や産後パパ育休、出生時育児休業給付金の導入など、より夫婦で交代しながらの育児がしやすくなっております。またこれらに伴い厚労省のガイドラインでは、育児休業等に関する対象者や手続き、期間などの就業規則等への記載が求められております。これら法令の手続き面だけでなく、社内環境としても男女ともに育休の取得がしやすい雰囲気づくりも必要と言えます。これらを踏まえて、現在どのような制度が用意されているのか、どのような手続きが必要かなどを社内で周知していくことが重要と言えるでしょう。

 

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