消費者庁、期間経過後に「期間限定割引」を適用していた脱毛サロン運営会社に措置命令
2022/03/29 広告法務, 景品表示法

はじめに
消費者庁は2022年3月15日付で株式会社セドナエンタープライズに対して、景品表示法に基づく措置命令を実施しました。「脱毛ラボ ホームエディション」の表示内容が問題視されたものです。ここでは、問題となった表示内容を主に取り上げます。
「脱毛ラボ ホームエディション」の表示内容と実際に行われたことの相違点①
まずは、「脱毛ラボ ホームエディション」の表示内容と実際に行われたことの相違点について見ていきましょう。表示期間は2021年2月15日から2021年3月14日、時計のイラスト付きで「乗り換え割」とし、「他社の会員証もしくは契約書の送付」をすることで代金の30%をキャッシュバック、「商品レビュー投稿」により代金の15%もしくは20%相当をキャッシュバック、以下の条件を満たすことで最大45%OFFという表示をしていました。しかし、実際には3月14日を過ぎて上記の手続きを行った商品者に対しても、同様のキャッシュバック等をおこなっていました。
「脱毛ラボ ホームエディション」の表示内容と実際に行われたことの相違点②
同じく、脱毛ラボ ホームエディションで、2021年5月10日に表示された内容も景品表示法に基づく措置命令の対象となりました。こちらは限定として「5月10日23時59分まで」という表示のもと、ケア4点セット13,728円相当のプレゼントと最大1,000ポイント進呈がなされるという内容です。しかし、実際には、5月10日以降に商品を購入した消費者に対しても、同様のプレゼンとやポイントの進呈がおこなわれていました。
措置命令の内容
消費者庁から株式会社セドナエンタープライズへの措置命令は次のとおりです。
1.これまでの表示内容が景品表示法に違反していたことを消費者に周知徹底する
※実際のものと比べた際、明らかに相手方に有利な取引であると誤認されるおそれがある
2.再発防止策を設けた上で役員および従業員に周知徹底する
3.今後は同様の表示をしない
今回の件で消費者庁は、セドナエンタープライズは、自社の供給する商品の取引条件について、実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認させ、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある表示をしていたとし、これら複数の表示は景品表示法第5条第2号に該当するものであること、今回の行為は、それぞれ同条の規定に違反するものであることを指摘しています。本件が該当する箇所は次のとおりです。
不当景品類及び不当表示防止法
第五条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。
二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
コメント
消費者庁より措置命令を受けた「脱毛ラボ ホームエディション」の表示内容は、景品表示法第5条の「有利誤認表示」に抵触するものです。セドナエンタープライズは、今回の措置命令を受け、3月18日付にて、「消費者庁による措置命令に基づくお知らせとお詫び」を発表しています。
今回問題となったキャンペーンの類は、割引・特典付与等、消費者にメリットを提供する性質のものゆえに、その延長に対しても「消費者が喜ぶからいいのでは?」と、景品表示法への意識が薄らぎがちです。しかし、キャンペーンを繰り返すことは、非キャンペーン時の通常価格・通常サービス等について、実態のないものと消費者庁より評価されるおそれがあります。
消費者庁は、「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」(価格表示ガイドライン)を発表しておりますが、再度のキャンペーンを実施する際には、同ガイドラインに規定される、過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示の細かい要件を満たす必要があります。キャンペーンの延長、再開には、細心の注意が必要です。
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