製品の重大事故に対して企業の取るべき行動は?
2010/11/25   消費者取引関連法務, 民法・商法, メーカー

消費者庁は、消費生活用製品(ガス機器・石油機器等)の重大製品事故について公表した。消費生活用製品安全法第35条第1項の規定に基づき報告のあった重大製品事故についての公表であり、今回対象となった製品は、、電子レンジ、電気あんか、歩行器(乳児用)、折りたたみ自転車、電動アシスト自転車、電気洗濯機、電気ストーブ、コンセント、である。
今回の消費者庁による公表で、製品に起因する事故であるとされる主な機器は、東陶ユプロ株式会社(現TOTO株式会社)が製造した石油給湯機付ふろがま等4件である(石油ストーブ、都市ガス用ガスこんろ、石油給湯機付ふろがま、石油こんろ)。
東陶ユプロ株式会社(現TOTO株式会社)が製造した石油給湯機付ふろがまについては、当該製品を使用中、屋外にある当該製品が焼損する火災が発生し、その原因である製品内部の送油ユニット部分の電磁ポンプパッキンが原因と見られている。
原因となった電磁ポンプと同一の構造を有する石油給湯機を販売した6社は、平成20年11月から12月にかけて、順次、新聞広告を掲載し、未改修の該当機種をご使用の消費者に対して速やかに連絡を頂くよう呼び掛けている。

製品を原因とする事故が生じたとき、企業がとるべき対応が問われる。その最も悪いケースが社会問題となったパロマ工業のガス瞬間湯沸かし器の一連の死亡事故である。
今回の事故におけるTOTO株式会社及び他5社のとった対応は、社のホームページにおいて告知を自主的に行い、消費者庁に報告もしている。パロマ工業の事件の教訓も生かし、賢明な対応であったと思われる。

パロマ工業の事故概要


パロマ工業が1980年4月から1989年7月にかけて製造した屋内設置型のFE式瞬間湯沸器について、同排気ファンの動作不良を原因とする一酸化炭素事故が1985年1月より20年間で全国で28件(死亡21人・重軽症19人)発生した。
一連の事故について、パロマは当初、事故をごく一部しか把握していないとしたが、実際にはすべての事故は発生直後より本社担当部門が把握し、遅くとも1992年には当時パロマ社長であったパロマ会長小林敏宏(パロマ現社長:小林弘明の実父で、パロマ工業現社長)も報告を受けていた。その後、社内やサービス業者向けに注意を呼び掛ける措置をとったものの、消費者に対する告知は一切なされなかった。また、事故情報は発生都度、パロマより当時の通商産業省に口頭で報告されていたが、同省も一連の事故を関連付ける認識をせず、必要な行政処置や消費者に対する告知を行うことはしなかった。
さらに、自社及び同製品に責任はないとする姿勢を見せていたが、直後に系列サービス業者による不正改造や製品自体の安全装置劣化を原因とする事故が27件中13件あることが判明した。
程なく一転してパロマは謝罪に追い込まれ、会長小林は辞任を表明した。松下電器のFF式石油温風機の欠陥問題に於ける対応と比べると、パロマの対応はあまりにも稚拙であり、消費者軽視であるという見方もある。
この事故の影響でパロマは2006年7月現在国内生産を3割減産した。また、最終的に「国内販売が(事故前の)3-4割残れば良い方」(会長小林敏宏)として従業員の人員削減を予定している。元々、売上の8割を海外で稼ぐために国内販売にはそれほど熱心でないとの指摘もあり、こうした風土も事故につながった遠因ともされる。
その中、経済産業省から同年8月28日付けで回収命令が出された。
この事故に関するリコール告知の「お詫びとお願い」CMが、同年7月24日より全国で放送された。また翌2007年7月以降も、再度リコール告知CM(新バージョン)が放送された。
(ウィキペディアから引用)


【関連リンク】
11月24日 消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について(消費者庁)
パロマ湯沸かし器事故 19万5000台未確認のまま 消費者庁「教訓生かす」(リンク切れ) →代替リンク
石油直圧式給湯機の点検・部品交換に関するお知らせ(TOTOホームページ)
 

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