消費者庁が新たに2件許可、特定保健用食品について
2021/08/16 広告法務, 消費者取引関連法務, 景品表示法, その他

はじめに
消費者庁は2日、新たに2件の特定保健用食品(トクホ)の表示許可を出したと発表しました。対象となる食品は「オリゴワン」と呼ばれる清涼飲料水とのことです。今回は特定保健用食品について見直していきます。
事案の概要
消費者庁の発表によりますと、今回特定保健用食品の表示許可が出されたのは株式会社ハーバー研究所の「オリゴワン イチゴヨーグルト味」と「オリゴワン パインヨーグルト味」の2件とされます。
食品の種類はいずれも清涼飲料水で、関与成分は乳果オリゴ糖、許可を受けた表示内容は、「乳果オリゴ糖の働きにより腸内ビフィズス菌を適正に増やしておなかの調子を良好に保ち、便通の改善に役立つ飲料」とのことです。摂取をする上での注意事項は「飲みすぎ、あるいは体質・体調によりおなかがゆるこなることがある」とされております。
特定保健用食品とは
消費者庁によりますと、特定保健用食品とは、食生活において特定の保健の目的で摂取する者に対し、その摂取により当該特定の保健の目的が期待できる旨の表示を行うものとされております。
血圧や血中コレステロールを正常に保ち、おなかの調子を整えたりするのに役立つといった特定の保健用途を表示するものです。1991年の栄養改善法によって制度化されたものとされます。
特定保健用食品として食品を販売するには、その表示について消費者庁長官の許可を受ける必要があります(健康増進法43条1項)。許可に当たっては食品ごとに食品の有効性や安全性について消費者庁の審査を受けることとなります。
特定保健用食品の分類
特定保健用食品には、食生活において、その摂取により保健目的が期待できる旨の表示をする食品「特定保健用食品」、疾病リスク低減表示を認める食品「特定保健用食品(疾病リスク低減表示)」、科学的根拠が蓄積されている関与成分について規格基準を定め、消費者庁が適合性を審査して許可する「特定保健用食品(規格基準型)」、既に許可を受けている食品について商品名や風味等の軽微な変更等をした場合の「特定保健用食品(再許可等)」に分けられます。
また審査で要求している有効性の科学的根拠のレベルに届かないものの、一定の有効性が確認される食品について、限定的な科学的根拠である旨の表示をすることを条件とする「条件付き特定保健用食品」も認められております。
機能性表示食品とは
特定保健用食品に似た制度として機能性表示食品というものが存在します。国の厳格な審査を経て食品ごとに消費者庁長官が表示の許可を出すトクホと違い、事業者の責任において科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品を言います。
消費者庁の許可は必要ありませんが、事前に機能性や安全性の根拠に関する情報等を消費者庁長官に届け出る必要があります。対象となる食品は生鮮食品を含めすべての食品となっております。
表示に当たっては機能性表示食品である旨、届出番号、届出た内容、1日の摂取目安量、医薬品ではない旨などを明示することになります。
コメント
本件で消費者庁長官により表示許可が出されたのは乳果オリゴ糖を関与成分とする清涼飲料水ですが、区分が再許可等特保となっており以前に許可を受けた食品の風味や表示など軽微な変更を行い再許可を受けたものと言えます。
このように特定保健用食品はその有効性や安全性について厳格な審査を受けており、現在1077件が許可済みです。一方機能性表示食品については審査は行われず、企業の責任で表示が行われます。そのため届出の範囲を逸脱したり、景表法の不当表示規制に違反する例も多いとされ、消費者庁の発表では昨年度は440件の違反事例があったとされます。特にコロナウイルスに関連して「免疫力アップ」等をうたう食品も多いと言われております。
これらの食品を販売している場合には、今一度表示内容について確認し直しておくことが重要と言えるでしょう。
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