積水ハウス ポスト別に役割・要件を定義
2021/08/07 労務法務, 労働法全般, その他

はじめに
積水ハウス㈱(大阪府大阪市、仲井嘉浩代表取締役社長執行役員兼CEO)は、新卒入社から最短8年で管理職に昇進できる人事制度を来年度に導入することを明らかにしていましたが、実現に向けて8月からキャリア面談が開始されました。
新たな人事制度では、キャリア選択の幅を広げるために、管理職を責任者たるマネージャーと専門家たるスペシャリストに分け、それぞれに4階層を設けます。また、評価制度を改め、業績重視から能力・行動評定重視に変更し、組織長についてはポストごとにミッションや役割・能力要件などを明確にすると述べています。
事案の概要
同社の人事制度の刷新は11年ぶりであり、現制度から非管理職社員の等級階層を減らし、優秀な社員を早期に管理職に登用できるようになります。組織長の役割と能力を明確にする役割等級制度により、社員が自律的にキャリアを形成する組織の風土を志しているようです。
職務・責任の明確化によるメリット
各職務における責任の範囲を予め明確にすることで、誰が何をすればいいのかをハッキリさせることができます。それぞれの役割を把握することで無駄な業務を行うなど非効率を避けることができる上に、資料の改ざん・ねつ造等の不正の防止に繋がります。
また、責任の所在が明確となることで社員同士の軋轢が発生しづらくなります。そういった意味で、職務・責任の明確化はリスクマネジメントにも寄与します。さらに、中小企業においては、一人の社員が2つ以上の役職を兼任することが少なくありませんが、リスクマネジメントの観点から望ましくありません。
職務・責任の明確化のデメリット
社員の職務・責任を明確にすることで、指揮命令系統が明らかになります。そのため仕事が円滑になる側面もありますが、命令がなければ行動できないという状態が増えます。
そのため、個々の自主性を培うための土壌が社内になければ、職務分掌という名の下にモチベーションの低い社員が続出してしまいます。また、中小企業では、職務分掌により自己の職務以外は関与しようとしない者が増え、そもそも仕事が回らなくなるというリスクがあります。
コメント
積水ハウスの新たな人事制度は、若手社員のキャリア形成に寄与するだけではなく、2017年に地面師に騙された事件の再発防止のために、営業職の人材の入れ替えを容易にすべく職務・責任の明確化を図ろうとしたものだと思われます。
企業法務従事者としては、職務・責任の明確化を図るのが自社にとってベターな選択なのか、ベターな選択だとしてもデメリットをどう解消するべきか、自社の実態に照らして判断すべきでしょう。
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