小諸労基署 外国人活用で啓発
2021/08/05   労務法務, 外国人雇用, 労働法全般, その他

はじめに

 小諸労働基準監督署(署長 徳永和成)では、令和3年6月11日、葉物野菜の生産が盛んな川上村内の商業施設において、佐久警察署及び佐久公共職業安定所等と共同で「農業における適切な労務管理」のための啓発活動を行いました。

事案の概要

 昨年度、小諸労働基準監督署管内において、農作業に従事する外国人労働者に関して不適切な労務管理の事案が散見されたため、再発防止を図るため実施したものです。当該啓発の内容は、外国人労働者の使用者に対し適切な労務管理を求め、外国人労働者に対し自身の労働条件の適切さの確認を求めるものです。

外国人労働者搾取の実例

 外国人労働者が搾取されたとして報告された例を紹介いたします。

①悪質な中間業者によるピンハネ
②労働条件を書面で明示せずに契約する
③最低賃金を下回る賃金
④賃金からの不当な控除
⑤労働時間に応じた賃金の未払い
⑥安全管理の不注意による労働災害
⑦怪我をした労働者につき報告しなければならないのに労基署へ報告しない
等の例が挙げられます。

 ④に関して補足すると、税金や各種保険料以外を控除する場合は、②の書面に記載することに加え、労使協定の締結が必要となりますが、そのような事実も無しに賃金から控除するケースが④に当たります。

また、⑥に関して補足すると、機械使用方法等を中心に安全確保のための教育を怠る使用者がおり、それによって労働災害が起きるケースが⑥に当たります。使用者たる企業は上記例に該当しないよう注意しましょう。

外国人労働者急増の背景

 日本の労働力不足が深刻化していることを背景に、外国人労働者数は2012年には65万~68万人程度でしたが、2018年には146万人にまで増えています。また、内閣府のデータによると、2012年から2017年にかけて、留学生による技能実習や資格外活動(アルバイトなど)が31.1万人(53%)増加し、専門的・技術的分野の在留資格を持つ外国人労働者も11.4万人(19%)増加しています。

 そして、外国人労働者の急増の背景として、政府が外国人留学生の日本企業への就職支援を強化する等、高度外国人材の受け入れを促進していることが挙げられます。外国人労働者数は、今後も増加すると予測されることから、労働者不足に悩む企業が外国人労働者を新たに取り入れるという動きが今後さらに増えるでしょう。

コメント

 外国人労働者を国内で大量に採用することにより招かれる問題は多岐にわたります。今回は使用者側が加害者となる問題に焦点を当てましたが、外国人労働者を採用する場合には、企業が抱えることとなるリスク等も勘案しなければなりません。

 企業法務従事者としては、先述のような外国人労働者への適切な扱いを遵守しつつ、外国人労働者を雇うにあたって避けられないリスク等を今一度見直すと良いでしょう。

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