レオパレス アパートオーナーが集団提訴
2021/08/04 契約法務, 不動産法務, 民法・商法, その他

はじめに
7月30日にアパート建設大手である「レオパレス21」が建築基準法に違反するアパートを建設したとして、アパートのオーナー6人が自費で工事した場合に必要な修繕費など計約7600万円の損害賠償の支払いを求め東京地裁に提訴しました。
事案の概要
レオパレスは2018年5月に住戸を隔てる壁に防火や防音効果が備えられていない等、建築基準法違反の疑いがある施工不良が見つかったと発表しました。
当初は2019年10月までの修繕工事完了を目指していましたが、現在は2024年までに修繕工事を完了することを目指しています。そして、アパートのオーナーらが本件の提訴をしました。以前にもオーナーらが同様の事案でレオパレスを訴えたケースが複数ありました。
なお、8月には約60人のオーナーが原告に加わり、損害賠償額は計約11億円になると予測されています。
アパートオーナーとレオパレスの関係
レオパレスのビジネスモデルは、土地所有者にアパートを建築してもらうものの建築は同社が担い、同社が完成後にアパートを一括して借り上げるといういわゆるサブリース契約を用いたものです。
サブリース契約を結ぶとサブリース会社が賃借人、アパートオーナーが賃貸人になります。サブリース契約は入居者の有無にかかわらず一括借り上げで家賃を支払うため、アパートオーナーにとってはリスクヘッジになります。
ただし、サブリース業者である同社も、損を避けるために入居率に応じて家賃を調整できる契約内容を盛り込んでいました。
サブリース契約の施工不良の責任
さて、本件で争点となるであろう施工不良の責任について、原告らは、同社がアパートの設計・建築を担ったが外壁の防火構造や遮音性等に関わる重大な瑕疵があると主張しています。
そして、これらの事実が認められ建築基準法に違反しているとすれば、通常有する性能を欠き騒音トラブルや火災被害の拡大等を招くような場合に当たるといえ、重大な瑕疵であると認められ損害賠償責任が認められる可能性が高いです。
コメント
完成した建築物の場合、その内部の瑕疵に気づきにくいため問題が表面化するのに時間がかかります。新規建築物を買う企業は建物の内部の瑕疵に関し、後に発覚した場合に備えて契約書面においてケアをする必要があります。
企業法務従事者としては、本件のような後々明らかとなる契約上の瑕疵のように、未だ表面化していないものの、後に発生する可能性のある問題について、未然に契約書面において責任の所在及びその内容を明らかにしておくと、訴訟にまでもつれても自社が有利になるため、その点を意識すると良いでしょう。
また、後に瑕疵が見つかった場合の条項が契約書に盛り込まれているかをチェックする等、改めてリスクヘッジを見直すと良いでしょう。
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