経産省 繊維産業のサステナビリティに関する議論を報告
2021/07/26 労務法務, 労働法全般, その他

はじめに
経済産業省は、7月12日に「繊維産業のサステナビリティ(持続可能性)に関する検討会報告書」を発表し、その中で女性活躍へ向けてジェンダー教育の実施を提案しました。
事案の概要
2015年のSDGs(持続可能な開発目標)の採択以降、国内外において官民でのサステナビリティへの取組が活発になっています。サステナビリティとは、広く環境・社会・経済の3つの観点からこの世の中を持続可能にしていくという考え方を意味します。
日本の繊維産業は、その一部においてサステナビリティの取組が徐々に始まってはいるものの、業界全体を通してみると未だ取組が十分になされているとは言い難い状況にあります。このような状況を踏まえ、繊維産業におけるサステナビリティへの取組を促進するために令和3年2月に「繊維産業のサステナビリティに関する検討会」を設置し、計6回にわたり議論・検討を行ってきました。
今回発表された報告書は、検討会の結果を取りまとめ、それを踏まえた政策提言を行うものです。
ジェンダー平等
サステナビリティに係る取組は、環境への配慮から労働環境の整備など多岐にわたります。そのため、本報告書において様々な提言がなされていますが、今回はジェンダー平等に焦点を絞りたいと思います。
女性役員割合は、東証一部上場企業全体で6.0%であり、繊維関連企業は4.3%と全体平均よりも低くなっています。こうした背景にはロールモデルがいないことやキャリアアップの仕組みが構築されていない等の原因があると考えられています。
政府の提言の具体的な内容
ジェンダー平等の実現のために経産省が提言している施策は、
①官民ラウンドテーブルの設置
②若い世代に対するロールモデルの提示
です。
①官民ラウンドテーブルの設置とは、女性が働きやすい環境の整備や女性の管理職等への登用を推進するためには、繊維産業全体で取り組んでいく必要があるところ、政府や産業界の代表が一堂に会し、ジェンダー平等の重要性を共有・理解するとともに、先進的な取組事例(女性幹部候補の育成プログラム等)や企業が構築すべき人材育成の仕組み等について議論・共有する場(官民ラウンドテーブル)を設置するという内容の提言です。
②若い世代に対するロールモデルの提示とは、繊維産業の将来を担うであろう若い世代へのジェンダー教育の実施やロールモデルを示すために、既に活躍している女性リーダーが経験談やキャリア形成に係る取組等の事例を紹介する講座を開設するという内容の提言です。
コメント
繊維産業に限らず、サステナビリティに賛同しておらず、ジェンダー平等にコミットしていない企業が多いのが現状です。しかし、今回の報告書の発表は、政府が本格的にサステナビリティの実現へ向けて動き出したともとれることから、サステナビリティに無関心であった企業としては立ち回りを見直すべきかもしれません。
企業法務従事者としては、政府がサステナビリティに対しどのような政策を行う可能性があるのかを政府からの提言等から推測し、予め対応の準備をしておく必要があるでしょう。
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