「嵐」コンサートチケット転売で初判決、チケット不正転売禁止法について
2020/08/31   コンプライアンス, 民法・商法, その他

はじめに

人気アイドルグループ「嵐」コンサートチケットを不正に転売したとしてチケット不正転売禁止法違反などの罪に問われていた女の判決公判が24日、大阪地裁で開かれ有罪判決が出ていたことがわかりました。同法施工後初とのことです。今回はチケット不正転売禁止法について見直していきます。

事件の概要

 報道などによりますと、札幌市白石区在住の保育士浜根被告(24)は昨年6月から9月にかけて人気アイドルグループ「嵐」のコンサートの電子チケットを会員制交流サイト(SNS)を使って不正に転売を行っていたとされます。また身分証を偽造するなどしてコンサート会場に不正に入場していたとのことです。大阪府警は昨年10月、チケット不正転売禁止法違反及び有印私文書偽造・行使の容疑で逮捕・送検しておりました。

チケット不正転売禁止法とは

 チケット不正転売禁止法は正式名称を「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」と言い、チケットの不正転売を防止し、チケットの適正な流通と文化・スポーツの振興と国民生活の安定を目的に制定されました。施行は昨年2019年6月14日からとなっております。近年コンサートやスポーツイベントなどのチケットを業者や個人が買い占め、オークションなどで高値で転売する事例が相次ぎ、本当に求めている人が入手しづらい状況続いております。このような状況を解決するための法律と言えます。違反した場合には罰則として1年以下の懲役、100万円以下の罰金またはこれらの併科が規定されております(9条1項)。

禁止行為

 チケット不正転売禁止法3条では、「何人も、特定興行入場券の不正転売をしてはならない」とし、また4条で不正転売を目的とした譲り受けも禁止しております。特定興行入場券とは、それを提示することによって興行を行う場所に入場できる証票で、①興行主等が興行主の同意なく有償譲渡をすることを禁止しそれが表示されており、②興行の日時場所座席等が指定され、③販売時に入場資格者と購入者の氏名や連絡先を確認する措置を講じ、その旨が表示されたものを言うとされます。つまり同意なく転売することが禁止されたチケットということです。そして「不正転売」とは、反復継続の意思をもって、販売価格を超える価格で転売する行為を言います。業者だけでなく個人にも該当します。

興行主の義務

 チケット不正転売禁止法では興行主側にも一定の役割を義務付けております。まず不正転売を防止するため入場時の本人確認などの必要な措置を講ずることが義務付けられます(5条1項)。そしてチケットの適正な流通が確保されるよう必要な措置を講ずることも義務付けられております(同2項)。これは例えばチケットを購入したものの、急用などで行けなくなった購入者から適正な価格で買い上げ、買えなかった人に正規の価格で再販売するといった、いわゆる公式のリセールサイトなどが挙げられております。興行主が公式で行う適正な転売と言えます。

コメント

 本件で転売がなされていた「嵐」のコンサートチケットは同意の無い転売の禁止が明示されていたと考えられ特定興行入場券に当たります。大阪地裁は偽造身分証での入場も含め懲役1年6ヶ月、執行猶予3年、罰金30万円、偽造身分証の没収を言い渡しました。こういったチケットの不正転売について、以前は各都道府県の迷惑防止条例で取り締まられておりました。いわゆるダフ屋行為です。しかし近年インターネット等の普及により会場入り口での行為の取締だけでは不十分となり本法の制定となりました。自社でチケットを販売する場合には現行法の転売防止の規定を把握し、どのような行為が禁止されているのか、また自社はどのような措置を講じる必要があるかを確認しておくことが重要と言えるでしょう。

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