東芝が株主総会で配当決議へ、剰余金配当について
2020/07/15 商事法務, 総会対応, 会社法, その他

はじめに
東芝は今月末に開催予定の定時株主総会で剰余金の配当決議を株主総会でもできるよう定款を変更する予定であることがわかりました。株主からの要望によるとのことです。今回は株式会社の剰余金配当について見直していきます。
事案の概要
東芝の発表によりますと、同社の定款では剰余金の配当に関する決議については株主総会の決議によらず、取締役会の決議により定める旨規定されております。しかし同社株主から、剰余金の配当や自己株式の取得に関する事項は株主にとって重要な事項であり、元来会社法上は株主総会の決議事項とされていることから、株主総会でも決議できるよう定款変更すべきとの提案があったとされます。これを受け同社では、定時株主総会で剰余金の配当については取締役会の決議によって定めることができるとする定款変更の提案を出しております。
剰余金の配当
株式会社は株主に対し剰余金の配当をすることができます(会社法453条)。この剰余金配当は分配可能額が存在する限り1事業年度内に何度でも行うことができます。分配可能額の計算は非常に複雑なものとなっており(461条、会社計算規則150条等参照)ここでは詳細には触れませんが、基本的には貸借対照表の「その他資本剰余金」「その他利益剰余金」の合計額となります。なお分配可能額が存在しても、純資産額が300万円を下回る場合には剰余金配当を行うことはできません(458条)。また会社が自己株式を持っている場合でも会社に対して配当することはできません(453条括弧書き)。
配当決議
剰余金を配当する場合にはその都度株主総会の普通決議で、①配当財産の種類、②割当てに関する事項、③効力発生日を決定することとなります(454条1項)。配当財産が金銭以外の財産であり、株主に金銭分配請求権を与えない場合は特別決議による必要があります(454条4項、309条2項10号)。なお現物配当の場合、基準数未満の株主には割り当てず、代わりに金銭を交付することもできます(456条)。たとえば「200株ごとに子会社株1株」を配当するとした場合に200株未満の株主には株式の代わりに金銭となります。
取締役会決議による場合
上記のように剰余金配当は株主総会の決議によることが原則ですが、①監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社、監査役会設置会社で会計監査人を設置している会社、②取締役の任期が1年以内、③定款の定めを置いている会社の場合は取締役会の決議によることができます。この場合、株主総会に加えて取締役会でも決議ができるようにすることも、株主総会の代わりに取締役会だけで決議できるようにすることも可能です(460条1項)。またこれとは別に1事業年度に1度だけ取締役会決議で配当を行うことができます(454条5項)。これを中間配当と言い、これもやはり定款の定めを要しますが、会計監査人の設置は要件とされておりません。また現物配当をすることはできません。
コメント
本件で東芝の定款には剰余金配当は「株主総会の決議によらず取締役会の決議によって定める」と規定されております。株主総会では決議せず、取締役会のみで剰余金配当を決めるということです。しかし株主からは株主総会でも決議できるよう要望があったとのことです。上記のように剰余金配当の決議は原則として株主総会で行うこととなっておりますが、株主の数が多い上場会社等ではその都度招集することは会社にとっても株主にとってもかなりの負担となります。そこで一定の要件のもと取締役会で決議できることとなっております。しかしやはり剰余金は株主にとって重要な関心事となっており、それによって投資先を決めている投資家も多いと言えます。自社の規模や株主の数、株主の傾向などを踏まえて適切な定款の定めを検討していくことが重要と言えるでしょう。
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