ベトナムで原産国偽装排除の動き
2019/07/29   コンプライアンス, 景品表示法

1.はじめに

トランプ大統領下で巻き起こった米中の貿易”戦争”。

その影響で中国に代わる生産拠点として大きな注目を浴びているのがベトナムです。

そのベトナムで、原産地表示の偽装問題につき大きな動きがありそうです。

2.原産地規則と偽装について

原産地の表示については、それぞれの国ごとに原産地規則が定められています。

原産地規則とは、貨物の原産地(=物品の「国籍」)を決定するためのルール(財務省パンフレットより)のことです。

第三国の材料(非原産材料)を使用し生産した場合であっても、最終産品が元の材料から大きく変化している場合には、原産品と認められます。(同パンフレット)

現産地偽装問題は度々問題となり、企業責任が問われる事態となっています。

日本でもなかなか問題は絶えず、偽装問題と言えば「またか」という感想を抱く方も少なくないはずです。

今年(2019年)に入っても、4月にゴマの加工販売業者の産地偽装が明らかになり、不正競争防止法違反で代表取締役が逮捕される事態が生じています。

法務担当者としては問題が起こらないよう、体制を整え目を光らせる役割を担うことになります。

ただし、その基準については国によって様々で、ベトナムは基準が緩く、ほぼ現地の倫理観に任されているような状況と言われてきました。

3.ベトナム税関当局の声明

基準が緩いとされてきたベトナムですが、税関当局の動きが活発になってきました。

今年(2019年)6月9日、ベトナム税関当局が原産国偽装の取り締まり強化を声明として発表しました。

背景には、アメリカの対中制裁を避けるため、中国やベトナムの企業が中国製品をベトナム製と偽り輸出する(迂回輸出)ことが増え、制裁の実効性の観点からアメリカ政府のベトナム政府への圧力が高まったことがあると言われています。

従来、ベトナムの輸出不当表示を取り締まる法規は存在するものの内容が曖昧で、適切に運用されず迂回輸出等に利用されてきた現状があります。

例えば、ベトナム企業が中国から輸入した材料のラベルを張り替え、米国に輸出していたケースなどが実際に報告されています。

そこでベトナムの税関当局は監視体制を強め、不正に関わった者・企業に罰則を科すという姿勢を打ち出したのです。

4.原産国偽装排除へ

声明発表後、ベトナムメディアは政府が原産国偽装防止に向けた法令作りを策定し始めたと7月上旬までに相次いで報じました。

具体的にはベトナム国内で部品調達や組み立て割合などを定めて原産国表示を厳格化し、これに違反した場合の罰則規定も設けるとされています。

ベトナム政府としては中国に代わりにベトナムが投資先・生産拠点として機能し始めた好機に、巨額の投資元であるアメリカの機嫌を損ねないよう、本腰を入れているように見受けられます。

特にトランプ政権は中国との“貿易戦争”などの対応を見るに、貿易問題には容赦ないという見解が支配的です。

7月2日には実際に、ベトナムで最終加工をしてアメリカへ輸出された一部鉄鋼製品を迂回輸出と認定し、最大450%を超える関税を課すことにしました。

具体的な日程はまだ定かではないものの、近いうちにベトナムの原産国表示規制が一新されることはほぼ間違いないはずです。

5.コメント

ベトナムに下請けや工場等がある企業の法務担当者は、今後原産地表示内容を見直す必要に迫られるかもしれません。

またベトナムを介した売買について、国内同様に表示のチェックに注意を払っていく必要が生じる可能性があります。

今後のベトナム政府や当局の動きが注目されます。

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