曙ブレーキが再建、私的整理について
2019/01/30 事業再生・倒産, 倒産法

はじめに
自動車のブレーキ部品大手「曙ブレーキ」は30日、事業再生ADRを利用して経営再建を目指すと発表しました。米国での事業の失敗が主要因であるとのことです。今回は企業再建方法の一つである私的整理について概観します。
事案の概要
曙ブレーキは自動車や二輪車のブレーキ部品や鉄道関連部品などを幅広く手がけるブレーキ大手で、トヨタやホンダ、米ゼネラル・モーターズ(GM)などにも納入しておりました。また米国内でGMと合弁企業を設立するなど海外進出にも力を入れてきましたが、リーマンショックなどの影響で米国での事業不振に陥り、一部の地方銀行から債務の返済を強く求められたことから事業再生ADRに踏み切ったとされます。
私的整理とは
企業が債務超過など経営危機に陥った場合には法的整理や私的整理が行われます。法的整理は以前にも取り上げた、破産、会社更生、民事再生、会社法の特別清算などがあります。私的整理は大まかに言えばそれら法的整理以外の企業再建方法のことを言います。裁判所等の監督のもとで厳格に債務の返済、事業再建などが強制的に行われる法的整理に対し、私的整理はよりフレキシブルと言えます。私的整理にもいくつか種類があり、事業再生ADRや私的整理ガイドラインに沿ったものなどがあります。
私的整理のメリット・デメリット
破産や会社更生などの法的整理は裁判所等の関与のもと厳格な手続が求められ期間もかかることが多いと言えます。また全ての債権者が関与しなくてはならず法的整理に入ったと知られれば企業の対外的信用も下がることになります。この点私的整理は特定の債権者との間の合意だけで行うことができ、また期間も短く信用の低下も防ぐことができるので事業の存続もしやすいと言えます。反面裁判所が関与しないことから公平性や透明性、信頼性といった点に難点があり、執行や保全といった強制手続きも無く、また債権者としても債権の処分を損金扱いにできるのか逐一税務当局に確認する必要があります。
私的整理ガイドラインと事業再生ADR
私的整理には本来法的な規制は無いのですが平成13年に経団連、全銀協などを中心に「私的整理に関するガイドライン」が策定されました。この私的整理ガイドラインを利用した私的整理の場合、債権者委員のもとで3年以内を目処とした債務超過解消が求められ、債権者集会で再建案の承認が必要など法的再生に近い抜本的な再建が求められます。また個別に確認しなくても債権者は債権の損金算入ができるなどの特徴があります。事業再生ADRは平成19年の産業活力強化法制定により制度化されたもので、法務大臣の認証を受けた事業者が実施します。法的整理と同様の専門家が関与し、こちらも債権の損金算入ができ、また債権者も金融機関のみであることから事業継続もしやすいと言えます。
コメント
本件で曙ブレーキは私的整理の方法として事業再生ADRを選択しました。この手続では金融機関のみが対象となるので従来の事業の取引先には影響がないとされます。事業を継続しつつ大株主などから融資を募っていく方針とのことです。このように私的整理にも様々の方法が存在します。私的整理ガイドラインの利用は基本的には大規模企業や金融機関などが利用することになります。事業再生ADRは債権者のなかでも金融機関だけを相手とする手続です。それ以外の場合は個別に弁護士が聴き取りや資産調査、再建計画の策定などを行っていくことが多いと言えます。債務超過に陥り、再建が必要となった場合にはどのような手続を利用するのが最適かを慎重に判断することが重要と言えるでしょう。
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