メルカリが現金出品を禁止、貸金業法の規制について
2017/04/26   行政対応

はじめに

スマホでの「フリマアプリ」を展開するメルカリ(東京)は現在流通している紙幣を出品することを禁止すると発表しました。クレジットカードのショッピング枠を使用した現金の取引は種々の法令に違反する可能性があります。今回は貸金業法に抵触しないかについて見ていきます。

事件の概要

衣類等の個人間取引をスマホで手軽に行えるアプリを展開しているメルカリは従来規約で貨幣の出品を禁止しておりました。希少な2千円札や製造過程で生じたいわゆるエラー貨幣の取引を行いたいとの消費者の声から規約を変更し今年2月から貨幣の出品を解禁しておりました。その後「1万円札4枚を4万7千円で販売」といった現金の販売が多数現れるようになりました。クレジットカードのショッピング枠を使用して現金を購入すれば一時的に現金を入手することができるというわけです。これに対し金融庁は、現金を出品して取引することは貸金業に、オークションの事業者は貸金業の媒介に該当するおそれがあり、無登録で行った場合は刑事罰の対象となると発表しました。また各信販会社の規約でもショッピング枠の現金化は禁止されております。これを受けメルカリは希少貨幣やエラー貨幣以外の現在流通する貨幣の出品は禁止とし、見つけ次第削除するとしています。

貸金業法による規制

貸金業法によりますと、貸金業を営むためには内閣総理大臣または都道府県知事の登録を受ける必要があります(3条1項)。無登録での貸金業の営業は禁止され(11条1項)、登録を受けていない者は貸金業の表示や広告、勧誘行為も禁止されます(同2項)。違反した場合は10年以下の懲役、3千万円以下の罰金またはこれらの併科となっております(47条1号、2号)。それではどのような場合が「貸金業」に該当するのか、以下具体的に見ていきます。

貸金業の要件

(1)貸付行為
貸金業法の規制の対象となる行為は金銭の貸付、金銭の貸借の媒介、手形割引、売渡担保等による金銭の交付、それらの媒介を言います。手形割引とは支払期日前に現金が必要な場合に、金融機関等に利息手数料等を差し引いた額で買い取ってもらうことを言います。売渡担保とは売買代金という形で融資を行い、一定期間後に利息をつけた金額で弁済し売った物を取り戻すことを言います。いずれも実質的には貸金行為と言えます。なおこれらに該当しても、例外的に除外されるものがあります。売買、運送、保管、売買の仲介、建物建築請負といった事業に「付随」する場合は該当しません(2条1項但書)。

(2)業務性
以上の貸付行為を「業として行う」場合に登録が必要となります(2条1項本文)。業として行うとは判例によりますと、「反復継続の意思をもって」行うことをいうとしており、必ずしも報酬、利益を得る意思、またはこれを得た事実は必要としないとしています(最判昭和28年2月3日)。またその貸付の相手も必ずしも不特定多数の者である必要はないとしています(最判昭和30年7月22日)。

出資法等による規制

貸金業に該当する場合、その利率についても規制が存在します。まず利息制限法1条では元本が10万円未満の場合は年20%、元本が10万円以上100万円未満の場合は18%、元本が100万円以上なら15%が上限となっております。そして出資法では以前は罰則の対象となる上限利率が29.2%でしたが、いわゆるグレーゾーンと呼ばれる利息制限法との差を解消するために出資法でも20%に統一されました(5条2項 2010年改正)。違反した場合は5年以下の懲役、1千万円の罰金またはこれらの併科となります。

コメント

現在メルカリでは規約で古銭等の希少貨幣以外の現金の取引を禁止しております。出品者も「旧札」「古銭」といった表示を行っている場合もありますが、実質的に現金売買と言えるものも多数出品されております。規約を潜脱する目的のものもあるのではないかと考えられます。下は3万円程度から上は25万円や30万円といった高額な取引も多数出品されており、「反復継続」の意思は認められる可能性は高いと言えます。また購入価格との差額は数千円から数万円に上るものもあり、年利に換算すると200%を超えるものも見られます。以上からこのような現金出品は貸金業法や出資法等に違反すると認められる可能性は高いと言えます。またこのような取引を放置するとフリマやオークション運営企業が「媒介」を行っているとして処罰されることもあり得ると言えるでしょう。ネットオークション等を運営する場合には注意が必要です。なお貸金業法施行令が改正され、現在は同一企業グループに属する会社間、また合弁事業での共同出資者から合弁会社への貸付は適用除外となり適法となりますので(施行令1条の2第6号、施行規則1条1項~5項)その点にも注意が必要と言えるでしょう。

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