女性活躍推進法と「えるぼし」認定企業とは
2016/10/12   行政対応, 法改正


・はじめに

働く女性の活躍を推進する「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(通称は「女性活躍推進法」)が平成28年4月1日に施行され、10月で半年が経過しました。そして女性活躍推進法に基づき、女性が活躍していると認められる企業には厚生労働省から「えるぼし」認定企業として認定がされるようになりました。はたして企業における女性の社会進出は上記の法律・認定制度により進んでいるのでしょうか。

・女性活躍推進法とは

それでは、まず今年4月に施行された女性活躍推進法とはどのようなものなのか概要をみてみましょう。
国と地方公共団体及び301人以上の大企業は、
(1)自社の女性の活躍に関する状況把握・課題分析
(2)その課題を解決するのにふさわしい数値目標と取組を盛り込んだ
   行動計画の策定・届け出・周知・公表
(3)自社の女性の活躍に関する情報の公表
を行わなければなりません(300人以下の中小企業は努力義務)。

参照条文 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律

法律の内容を簡単に説明すれば、企業の女性活躍に関わる状況を把握し、行動計画を策定させるものです。これは少子化に伴う将来の労働力不足の解消のため女性により多く、より長く、より能力を発揮して働いてもらうことを目的としています。
女性活躍推進法が義務付ける行動計画の策定・届け出をした企業は、15341社(8月31日現在、対象企業は15608社)に上り、努力義務にとどまる従業員300人以下の中小企業の届け出も1300社を超えており、多くの団体・企業にこの法律は浸透しているといえます。また、義務に違反したとしても特に罰則は設けられていませんが企業に対するイメージを考慮すれば従うべきでしょう。

厚生労働省 女性活躍推進法特集ページ
女性活躍推進法に係る一般事業主行動計画策定届出状況(8月31日付 PDF)
参考サイト 3分で分かる「女性活躍推進法」あなたの会社はどう変わる?

・「えるぼし」認定企業とは

「えるぼし」認定企業とは女性活躍推進法に基づき、女性の企業における活躍を特に推進している企業に厚生労働省から認定されるもので、その貢献度により3段階に分けられています。
評価項目は、以下の5つです。

①採用
男女別の採用時における競争倍率が同程度であること
②継続就業
平均勤続年数が男女間で同程度であること、又は10事業年度前及びその前後の事業年度に採用された新規学卒採用者の継続雇用割合が男女間で同程度であること
③労働時間等の働き方
法定時間外労働及び法定休日労働時間の合計時間数の平均が月ごとに全て45時間未満であること
④管理職比率
管理職に占める女性割合が産業ごとの平均値以上であること、又は直近3事業年度における課長級より一つ下位の職階の労働者に占める課長級に昇進した労働者の割合が男女間で同程度であること
⑤多様なキャリアコース
女性の非正社員から正社員への転換等の多様なキャリアコースが整備されていること
このうち、 1つ又は2つ満たすと 1段階

      3つ又は4つ満たすと 2段階

      5つすべて満たすと 3段階

の「えるぼし認定企業」と認定されます。
より正確には更に
・事業主行動計画策定指針に照らして適切な一般事業主行動計画を定めたこと
・定めた一般事業主行動計画について、適切に公表及び労働者に周知をしたこと
・法及び法に基づく命令その他関係法令に違反する重大な事実がないこと
も満たす必要がありますが、女性活躍推進法の義務に従っている企業においては殆ど満たしています。
そして、現在厚生労働省から145の企業が「えるぼし」企業(1~3段階全てを含む)として認定されています。
女性活躍推進法に基づく認定制度(PDF)
女性活躍推進法による認定状況(8月31日付 PDF)

・「えるぼし」認定される利点

①女性活躍推進法に基づく「えるぼし」認定企業等が公共調達で有利
各府省等が総合評価落札方式又は企画競争による調達によって公共調達を実施する場合は、女性活躍推進法に基づく認定企業(えるぼし認定企業)などを加点評価するよう定められました。
「えるぼし」認定されると公共調達で有利(PDF)

②厚生労働大臣が定める認定マーク(えるぼし)でイメージアップ
認定を受けた企業は、厚生労働大臣が定める認定マーク(えるぼし)を商品などに付すことができます。製造等を事業とする企業では自社製品を通じて女性が活躍している企業であることをアピールできます。
また、「えるぼし」企業に認定されれば厚生労働省のサイトにてその旨が公表され続け、認定されていること自体で女性の活躍を支えている企業であると評価されます。

女性活躍推進法認定マークの愛称を決定

・女性活躍推進法の現状

女性活躍推進法の施行から約半年が経過し、対象となる殆んどの企業が行動計画の策定・届け出をしています。罰則規定がなく実効性に疑問が全くないとは言えませんが、上述の通り、多くの企業が計画の策定・届け出をしている現状から考えれば、これからも企業による取組みは増加することが予想されます。
同法に基づき優良と認定された「えるぼし」企業は、現在(8月31日付)145社であり対象となる企業全体の1%に満たないですが(145社/15341社),当初に認定された74社(5月31日付)からほぼ倍増しており、企業が女性の企業における社会進出に重い腰をあげ始めたと評価できると思います。
また、厚生労働省のHP上でも多様な業種の企業において女性が企業でより快適に働けるような取組みがなされ、一定の成果が上がっていることが紹介されています。

企業の好事例集【建設業(1)】(PDF)
企業の好事例集【製造業(7)】(PDF)
他の事例も厚生労働省のHP上ので紹介されています。

・おわりに

女性活躍推進法が成立、施行される前から女性の社会進出を推進するべきだとは訴え続けられてきました。同法及び「えるぼし」認定という制度は国が企業に対し本格的にこの問題に対処するべきであることを正式に表明したものだと言えます。国が掲げる2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%に引き上げるという目標にはまだ程遠い現状ではありますが、企業としては真剣にこの問題に取り組んでいくべきでしょう。

政府の経済界への要請 ~女性の活躍推進関係~

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