三菱自動車の燃費不正問題からみる、法務担当者の使命
2016/08/06   コンプライアンス, 民法・商法, メーカー

事案の概要

三菱自動車の燃費不正問題に絡み、大阪弁護士会の弁護士8人が2日、消費者の被害救済に向けた弁護団を結成した。今後、燃費データが改ざんされていた車両の購入者を募り、三菱側に対して代金返還や、燃費悪化に伴うガソリン代相当の損害賠償を求め、集団訴訟を起こす方針。

経緯

三菱自動車が、軽自動車の「eKワゴン」や「eKスペース」などの4車種で、実際の燃費よりもよく見せるために燃費試験データを改ざんする不正を行っていたことがわかった。
同社の相川哲郎社長は、2016年4月20日17時から国土交通省で開いた記者会見で、「お客さまと関係者に深くおわびする」と陳謝した。
(参照:livedoor news)

三菱自動車は17日、軽自動車4車種に加え、過去に販売した「パジェロ」や「コルト」など普通乗用車5車種でも燃費データを改ざんしていたと発表した。国土交通省に報告後、記者会見した同社会長は、対象車種の顧客に対し、軽で一律10万円、5車種で同3万円を補償する方針を表明した。(参照:日経経済新聞)

全国で相次ぐメーカーの改ざん

(1)スズキは5月18日、国土交通省が定める法令と異なる方法で燃費データを計測していたと発表した。企業全体として、意図的に改ざんを行おうとしていることは否定している。
(参照:毎日新聞)

(2) 三井不動産レジデンシャル販売のマンションで判明した、杭打ち工事のデータ改ざん事件。(参照:朝日新聞)

(3)成田国際空港会社(NAA)は26日、企業共同体(JV)に発注した、航空燃料を積んだタンカーが接岸する千葉港頭(千葉市)の護岸耐震補強で施工不良があったと発表した。(参照:産経ニュース)

企業の法務担当がとるべき対応

本来、法務担当者は、事後対応でなく、あらかじめ不祥事を防止するために動くべきである。

例えば、ある会社の取り組みであるが、

①「社員の行動指針」を規律し、

②「社員の内部通報制度」を設け、

③「不祥事防止対策協議」を設けている。

そして、このような制度は、ある程度の規模の会社であれば、ほとんどの会社がもっていると思われる。

そして、三菱自動車にもこのような制度は存在していた(下記URL参照)。しかし、三菱自動車では、2005年に同社の新人の社員が不正行為をやめるよう社内で提言したのに、幹部が放置していたことが、燃費不正を調べていた特別調査委員会が2日公表の報告書で明らかにした。

このように、制度が存在しても、不祥事を防止することが企業全体の方針として徹底されていなければ、不祥事の早期発見及び防止に結び付けさせることは困難である。
(参照:三菱自動車URL)

まとめ

不祥事の例として今回取り上げた三菱自動車は、今年6月17日に対象車種の所有者に1人10万円の補償金を支払うことを表明している。

しかし、10万円の補償金が妥当なのかという点で、上記の通り、弁護団により訴訟が提起されつつある。また、三菱自動車の2016年5月の軽自動車の国内新車販売台数が前年同月比75.0%減の912台と4分の1に落ち込んでいるなどの事態に陥っている。

このように、不祥事が発生すると、企業は大きな代償を支払うことになる。

法務担当としては、今後、企業内での社員研修だけでなく、不祥事を隠し続けた場合、生じるリスクを経営陣に提出し、隠ぺい体制から公表・改善体制へシフトするように提案しつづけることが大切であると思われる。

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