改正風営法施行、その改正概要について
2016/06/29 法改正対応, 法改正, エンターテイメント

はじめに
昨年6月17日に成立し同月24日に公布されました改正風営法が今年6月23日に施行されました。本改正により24時間営業可能となった業種や規制対象から除外された業種等が存在します。今回は改正風営法の概要について見ていきたいと思います。
風営法改正のポイント
今回の改正での大きな変更点はダンス営業に関する規制緩和とクラブ営業の営業時間の延長が挙げられます。ダンス営業に関しては以前から規制の対象から外すべきとの声が上がっていました。「ダンス」の定義の曖昧さ等から一律にダンス営業を規制することは憲法21条の表現の自由にも抵触し、罰則適用は罪刑法定主義等の刑事罰の原則にも反するのではないかということです。また以前規制対象となっていたビリヤード営業もビリヤードはスポーツであるとの社会認識の変化に伴って風営法による規制対象から除外されたという経緯から、ダンスも同様に規制対象から外すべきと考えられてきました。これによりダンス営業に関しては一部風営法の規制対象から外れ、一部は24時間営業が可能となります。クラブ営業に関しても店内の照明の明るさによってその地域の条例による営業時間に服することになり、最大午前6時までの営業が可能となります。
ダンス営業について
本改正により旧風営法2条1項4号「設備を設けて客にダンスをさせる営業」の規定が削除され、ダンス営業は風俗営業から除外されました。これによりダンス営業は一律に風俗営業として許可を要するということはなくなりましたが、風営法自体が適用されなくなったわけではありません。まず客にダンスのみをさせるダンス教室、ダンスホール等は風営法の規制対象から外れました。ダンスに加え飲食物を提供する場合は通常の飲食店としての営業許可が必要となります。深夜0時以降に酒類を提供する場合は本改正により新設された特定遊興飲食店営業として許可が必要となります。
クラブ営業について
客にダンスをさせ、接客と飲食の提供を行うキャバレーと接客と遊興または飲食を提供するキャバクラのいわゆるクラブ営業に関しては店内の照明の明るさによって分類し、朝までの営業が可能となるようになりました。店内の照明の明るさが10ルクスを超える場合は上記の特定遊興飲食店営業として条例の範囲で朝までの営業も可能となり24時間の営業ができるようになります。10ルクスの明るさとは上映前の映画館内の明るさに相当します。明るさが10ルクス以下の場合はこれまでの風俗営業としての営業となります。その場合でも営業時間はこれまで最大深夜1時までだったのが条例によりさらに延長することが可能となりました。
特定遊興飲食店営業とは
本改正で新設された特定遊興飲食店営業とは「ナイトクラブその他の設備を設けて客に遊興をさせ、かつ、客に飲食をさせる営業(客に酒類を提供して営むものに限る)で、午前6時後翌日の午前0時前の時間においてのみ営むもの以外のもの」(2条11項)と定義されております。つまり客を遊興させ0時以降にお酒を提供し、明るさが10ルクスを超える店を指します。これに該当する場合には公安委員会の許可が必要となります(31条の22)。「遊興させる」とは営業者側の積極的な行為によって客に遊び興じさせることを言います。営業者側の積極的な関与を必要としないカラオケ、ボーリング、ビリヤード等の場合には該当しません。
コメント
本改正によりクラブ営業等は明るさを10ルクス以上にすることによって深夜0時以降も営業することが可能となりますが、その場合には新たに許可が必要となってきます。警察庁によりますと特定遊興飲食店営業の許可申請は5月末時点で14都道府県で約70件とのこと。23日の改正法施行をうけて福岡県警が立ち入り調査したところ福岡県内の75店舗の内許可を要するのに申請していなかった店舗は約半数近くに登ります。今回の規制緩和に伴って客の迷惑行為防止措置及び近隣からの苦情処理簿の設置が義務付けられる等、近隣環境への配慮義務が新設されましたが、朝までの営業が可能となることで地域住民への影響は避けがたいものと言えます。警察による立入検査等の行政による取り締まりは強化されていくものと予想されることから、今後特定遊興飲食店営業を予定している事業者は許可申請と近隣への配慮措置に注意が必要と言えるでしょう。
関連コンテンツ
新着情報
- 弁護士
- 水守 真由弁護士
- 弁護士法人かなめ
- 〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満4丁目1−15 西天満内藤ビル 602号
- 弁護士
- 片山 優弁護士
- オリンピア法律事務所
- 〒460-0002
愛知県名古屋市中区丸の内一丁目17番19号 キリックス丸の内ビル5階

- 業務効率化
- ContractS CLM公式資料ダウンロード

- 解説動画
浅田 一樹弁護士
- 【無料】国際契約における準拠法と紛争解決条項
- 終了
- 視聴時間1時間

- セミナー
内田 博基 氏(三菱UFJ信託銀行株式会社 執行役員 法務部長 ニューヨーク州弁護士)
藤原 総一郎 氏(長島・大野・常松法律事務所 マネージング・パートナー)
板谷 隆平(MNTSQ株式会社 代表取締役/ 長島・大野・常松法律事務所 弁護士)
- 【3/19まで配信中】CORE 8 による法務部門の革新:三菱UFJ信託銀行に学ぶ 企業内弁護士の力を最大限に活かす組織作りの秘訣
- 終了
- 2025/03/19
- 23:59~23:59

- 解説動画
加藤 賢弁護士
- 【無料】上場企業・IPO準備企業の会社法務部門・総務部門・経理部門の担当者が知っておきたい金融商品取引法の開示規制の基礎
- 終了
- 視聴時間1時間

- ニュース
- 会社に対する「就労証明書」の作成強要未遂に無罪判決 ー大阪高裁2025.4.28
- NEW
- 会社に就労証明書の作成を求めたことで、強要未遂の罪に問われた労働組合員に対する差し戻し審で大...

- まとめ
- 株主総会の手続き まとめ2024.4.18
- どの企業でも毎年事業年度終了後の一定期間内に定時株主総会を招集することが求められております。...

- 業務効率化
- Mercator® by Citco公式資料ダウンロード