下請法違反と公取委の指導の増加の現状
2015/11/27   コンプライアンス, 下請法, その他

1.下請け法違反行為の現状
 公正取引委員会は毎年11月を「下請取引適正化推進月間」と定め、下請法の普及・啓発に努めている。同委員会は11月13日(金)、下請取引の適正化に関する要請を経済産業大臣連名の文書をもって行った。これ以前の公表によれば、事業者名を公表する勧告は数年間減少しているものの、勧告より軽い指導は年々増加の一途を辿っているとのことだ。同委員会の指導・勧告により、下請事業者が被った不利益に関する原状回復請求等は、今年度では現在総額11億円以上に及んでいる。これらの原因となった違反行為では手続面での不備が多いという。手続面を十分にし、指導・勧告をうけないためにも、また立場の違いによって利用されることのないよう、今一度下請法の内容を把握・理解しておくことが重要と考えられる。

2.下請法
 下請取引の公正化及び下請事業者の利益保護を目的とする下請法では、下請取引の対象となる取引を事業者の資金規模と取引内容で定義し、親事業者の義務・禁止事項等を列挙するという簡素なつくりの法となっている。
① 親事業者の義務
 下請事業者に物品の製造等や修理等を委託する場合、注文内容や下請代金の支払期日等を明記した書面(注文書)を作成・交付し、これを保存する義務がある(下請法3、5条)。また、下請代金の支払期日を定め、期日に下請代金を支払わなかった場合は遅延利息を支払う義務がある(下請法2条の2、4条の2)。
② 親事業者の禁止行為
 まず、注文通りでない場合を除く注文物品等の受領拒否や、下請代金の支払遅延が禁止される(下請法4条1項1、2号)。また、責任の無い下請事業者に対する下請代金の減額や物品等の返品、不当な給付内容の変更・やり直しが禁止される(下請法4条1項3、4号、2条4号)。さらに、通常支払われるべき対価に比して著しく低い下請代金の額を不当に定める、いわゆる買いたたき行為や、正当な理由の無い役務の強制や不利益な取り扱い行為も禁止される(下請法4条1項5、6、7号)。加えて、不当な経済上の利益の提供要請も禁止される(下請法4条2項3号)。

3.下請法から学ぶこと
 下請法違反行為を行った事業者の業種別の内訳は製造業や卸・小売業が半数以上を占める状況にある。そのため、他の業種にとっては下請法があまり関係しないという状況にあるかもしれない。しかし、先に触れたように、下請法違反行為は手続面での不備から発生することが多いのが現状だ。他の事業者との連携関係を構築することが常である様々な業種においても無視できるものではないだろう。手続面を十分に備えることは、諸般のトラブル発生を回避し、費用と時間に多大な労力をかける裁判事案へもつれ込む前の事前防止策として機能することが期待できるからだ。その観点から見れば、下請法を一読し、その内容を把握・理解し、その理念を汲み取っておくことは決して損とはならないだろう。

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