子会社へのコンプライアンス指導は違法?
2015/10/28   コンプライアンス, 弁護士法, その他

概要

 平成27年10月27日、経団連は政府規制改革会議の作業部会において、子会社に対するコンプライアンス指導が適法であると明確化することを要望した。弁護士法72条は弁護士・弁護士法人以外の者が他人の法律事務を扱うことを禁止している。いわゆる「非弁活動」である。主な要件として①非弁護士性②対価③他人の法律事務であるが、親会社が子会社に対して法律指導することもこれらに該当し得るのである。一般的なコンプライアンス体制構築に対して指導したり、個別的な案件について子会社からの問い合わせに、親会社の法務部が答えるということは一般的に行われていることである。この問題に関して、法務省から出されている「グループ企業間の法律事務の取扱いと弁護士法第72条の関係について」という文書によると次のように言われている。 
(1)対価
 コピー代等といった実費は該当しない。しかし人件費は該当する可能性が高い
(2)法律事務
 基本的には事件性の有無が基準となる。通常業務に関する契約法務、株式・社債及び
 株主総会に関する法律相談は事件性がなく該当しない。しかし個別に生じた紛争に関
 する法律相談は事件性があり該当する可能性が高い。
(3)他人の法律事務
  同一企業グループ内の企業同士や親子会社であっても、法人格上は別であることに
 変わりはなく、他人の法律事務性を否定することは出来ない。
以上のように、非弁活動に該当するかは個別的に判断されることになり、明確な基準が存在しないのが現状だった。この点に関する経団連の明確化の要望に対して法務省は法改正等の対応は難しいものの、指摘の点に関しては検討するとしている。今後省令や通達という形での明確化はあるかもしれないが、依然グレー感は残ることになりそうである。

対策

親会社が子会社からの相談に応じる場合に、通常業務に属する案件か、事件性を帯びた個別事案かを判断することが必要である。前者であれば親会社法務部が対応しても問題はなく、後者であれば弁護士を通す必要が生じてくる。そこでグループ企業内の法務部でフローチャート等を作成し、事件性があり、非弁活動に該当しそうであれば顧問弁護士に相談する等の対応が望ましいと考えられる。

シェアする

  • はてなブックマークに追加
  • LINEで送る
  • 資質タイプ×業務フィールドチェック
  • TKC
  • 法務人材の紹介 経験者・法科大学院修了生
  • 法務人材の派遣 登録者多数/高い法的素養

新着情報

公式メールマガジン

企業法務ナビでは、不定期に法務に関する有益な情報(最新の法律情報、研修、交流会(MSサロン)の開催)をお届けするメールマガジンを配信しています。

申込は、こちらのボタンから。

メルマガ会員登録

公式SNS

企業法務ナビでは各種SNSでも
法務ニュースの新着情報をお届けしております。

企業法務ナビの課題別ソリューション

企業法務人手不足を解消したい!

2007年創業以来、法務経験者・法科大学院修了生など
企業法務に特化した人材紹介・派遣を行っております。

業務を効率化したい!

企業法務業務を効率化したい!

契約法務、翻訳等、法務部門に関連する業務を
効率化するリーガルテック商材や、
アウトソーシングサービス等をご紹介しています。

企業法務の業務を効率化

公式メールマガジン

企業法務ナビでは、不定期に法務に関する有益な情報(最新の法律情報、研修、交流会(MSサロン)の開催)をお届けするメールマガジンを配信しています。

申込は、こちらのボタンから。

メルマガ会員登録

公式SNS

企業法務ナビでは各種SNSでも
法務ニュースの新着情報をお届けしております。

企業法務ナビに興味を持たれた法人様へ

企業法務ナビを活用して顧客開拓をされたい企業、弁護士の方はこちらからお問い合わせください。