大田区、「Airbnb」を条例化
2015/10/09 法務相談一般, 民法・商法, その他

「民泊」とは
「民泊」とは、個人の家の空き部屋等を宿泊施設として貸し出すものである。海外では、インターネット上で宿泊希望者と部屋の提供者を繋ぐサービスである「Airbnb(エアビーアンドビー)」の使用が広がっており、宿泊先の選択肢の一つとなっている。「民泊」は、提供者としては余った部屋の有効活用ができ、宿泊者としては一般の宿泊施設よりも安価に宿泊することができるため、人気が高まっている。
現在の日本での「民泊」の取扱い
近年、日本においても「民泊」への関心が高まっており、実際に民間において行われている。しかし、日本の旅行業法では、有料での宿泊施設の提供は旅行業登録を国に申請し、受理された場合のみしか行うことができない。したがって、旅館やホテル以外の個人宅の一室を有料で貸し出すことは認められず、「民泊」は現行法上違法行為となるとの見方が強い。
もっとも、2020年の東京オリンピックに向け、国内の宿泊施設の確保が課題とされていることもあり、国は昨年4月に旅行業法の規制を緩和する政令を施行し、一定の条件の下「国家戦略的特区」においての「民泊」を可能とした。
条例制定による変化
今回、東京都大田区は、「民泊」を認める条例を制定する方針を示した。条例が制定されることにより、「民泊」に次のような変化が生じる。大田区は、「国家戦略的特区」に指定されており、現状一定の条件をクリアすれば「民泊」が認められる。これに対し、大田区の条例では、大田区の中で「民泊」を行える地域を限定する。したがって、条例制定後は、指定された地域以外での「民泊」を行った場合には、違法となることになる。また、同条例では「民泊」を行える条件として、7日以上の滞在の場合と限定している。この条件は政令においても規定されているが、条例に規定されることにより、明確に規制対象となる。
コメント
海外では「Airbnb」の利用が盛んであり、「民泊」は一般的なものとなりつつあるが、日本ではまだあまり知られていない。しかし、国内の宿泊施設不足は深刻であり、今後「民泊」に対する注目度は上がっていくだろう。これに応じて、「民泊」に対する法設備の構築も急がれる。今回、大田区がいち早く条例の制定を試みたことで、日本においても「民泊」が制度として確立されつつある。もっとも、課題も残されている。今回の条例において「民泊」を行うことが認められるのは7日以上の滞在の場合であるが、統計上宿泊者の宿泊日数は7日未満が大半であり、現在の条件下では「民泊」による宿泊施設不足の解消は難しい。このように、日本における「民泊」制度は課題も多く、今後の動向に注目してほしい。
参考資料
おもな「民泊」の条件(国家戦略特別区域法施行令第3条)
①試用期間は7日~10日以上であること
②居室の床面積は25㎡以上であること
③出入り口及び窓に鍵をかけること
④居室と他の居室との境いが壁造りであること
⑤適当な換気、採光、証明、防湿、排水、冷暖房の設備があること
⑥台所、浴室、便所及び洗面設備があること
⑦寝具、テーブル、椅子、収納家具、調理家具、清掃用具があること
⑧施設の使用開始時に清潔な居室を提供する
⑨施設の使用方法に関する外国語での案内や緊急時の情報提供等、
外国人旅客の滞在に必要な役務を提供すること。
関連コンテンツ
新着情報

- 解説動画
斎藤 誠(三井住友信託銀行株式会社 ガバナンスコンサルティング部 部長(法務管掌))
斉藤 航(株式会社ブイキューブ バーチャル株主総会プロダクトマーケティングマネージャー)
- 【オンライン】電子提供制度下の株主総会振返りとバーチャル株主総会の挑戦 ~インタラクティブなバーチャル株主総会とは~
- 終了
- 視聴時間1時間8分
- 弁護士
- 大谷 拓己弁護士
- 弁護士法人 咲くやこの花法律事務所
- 〒550-0011
大阪府大阪市西区阿波座1丁目6−1 JMFビル西本町01 9階

- 業務効率化
- 鈴与の契約書管理 公式資料ダウンロード

- ニュース
- 業界団体が「わかもと製薬」に是正指導、公正競争規約とは2025.6.12
- NEW
- 取引先の病院の院長を社用車で送迎するなどの接待を繰り返していたとして、「わかもと製薬」(東京都...

- 業務効率化
- Legaledge公式資料ダウンロード

- 解説動画
加藤 賢弁護士
- 【無料】上場企業・IPO準備企業の会社法務部門・総務部門・経理部門の担当者が知っておきたい金融商品取引法の開示規制の基礎
- 終了
- 視聴時間1時間

- セミナー
内田 博基 氏(三菱UFJ信託銀行株式会社 執行役員 法務部長 ニューヨーク州弁護士)
藤原 総一郎 氏(長島・大野・常松法律事務所 マネージング・パートナー)
板谷 隆平(MNTSQ株式会社 代表取締役/ 長島・大野・常松法律事務所 弁護士)
- 【3/19まで配信中】CORE 8 による法務部門の革新:三菱UFJ信託銀行に学ぶ 企業内弁護士の力を最大限に活かす組織作りの秘訣
- 終了
- 2025/03/19
- 23:59~23:59

- まとめ
- 株主提案の手続きと対応 まとめ2024.4.10
- 今年もまもなく定時株主総会の季節がやってきます。多くの企業にとってこの定時株主総会を問題無く無...
- 弁護士
- 横田 真穂弁護士
- 弁護士法人 咲くやこの花法律事務所
- 〒550-0011
大阪府大阪市西区阿波座1丁目6−1 JMFビル西本町01 9階