知的財産権のライセンス契約と譲渡契約の比較
2015/07/24 契約法務, 知財・ライセンス, 著作権法, その他

ライセンス契約の概要
知的財産権のライセンス契約とは、著作権法63条に基づき著作者が利用者に対し著作物の利用を承諾する契約である。したがって、著作権は著作者に残り、利用者はライセンス契約に定められた範囲内で著作物を利用できる権利を得る。また、利用権侵害があった場合、ライセンス契約においての著作権は著作者にあるので、利用者は固有の請求者とはされず、著作権法上の差止請求をすることはできず、損害賠償請求も認められない(著作権法112条)。
譲渡契約の概要
知的財産権の譲渡契約とは、著作権法61条に基づき著作者から譲受人に著作権を譲渡する契約である。したがって、譲受人は譲渡契約の範囲で著作権を取得し、著作者は当該著作権を喪失する。以後、著作者が当該著作権を利用すると、譲受人から著作権侵害の責任を追及される。また、著作権侵害が生じた場合、譲受人は新たな著作権者となるので、固有の請求者となり、著作権法上の差止請求をすることができ、損害賠償請求もすることができる(著作権法112条)。
共通点と相違点
ライセンス契約、知的財産の譲渡契約はともに契約を締結することにより、第三者の著作物を利用することができるようになる点で共通する。そして、利用できる範囲は契約で明記された範囲である点でも共通する。
ライセンス契約と知的財産の譲渡契約では、著作権の移転があるか否かの点で違いがある。そして、著作権の有無により、著作権侵害があった場合に著作権侵害に基づく差止請求、損害賠償請求をすることができるか否かの点で異なることになる。
コメント
知的財産の利用の際に締結する契約としては、知的財産のライセンス契約と譲渡契約が考えられる。ライセンス契約は多数の利用者と契約をすることができる。したがって、ソフトウェア利用などの契約で選択されることが多い。もっとも、ライセンス契約では契約対象の著作権を無断使用している者がいる場合、利用者は無断使用者に対し、著作権法上の差止請求や損害賠償請求をすることができず、不測の損害を受ける可能性があるので注意が必要である。譲渡契約は、著作権を独占的に使用することができる。したがって、企業のロゴデザインやイメージキャラクターのイラストなどの使用契約で選択されることが多い。もっとも、譲渡契約は著作者が著作権を自由に使用することができなくなる契約であるので、ライセンス契約よりも金銭的負担は大きくなる。このようなライセンス契約と譲渡契約のメリットデメリットをきちんと確認して契約を締結することが大切であると考える。
関連コンテンツ
新着情報

- 業務効率化
- LAWGUE公式資料ダウンロード

- ニュース
- 美容液の誇大広告で通販会社に業務停止命令、特商法の規制について2025.7.3
- NEW
- 美容液の誇大広告を行っていたなどとして、消費者庁が先月27日、通販会社に6ヶ月間の一部業務停止...
- 弁護士
- 髙瀬 政徳弁護士
- オリンピア法律事務所
- 〒460-0002
愛知県名古屋市中区丸の内一丁目17番19号 キリックス丸の内ビル5階

- 解説動画
江嵜 宗利弁護士
- 【無料】今更聞けない!? 改正電気通信事業法とウェブサービス
- 終了
- 視聴時間53分

- まとめ
- 株主総会の手続き まとめ2024.4.18
- どの企業でも毎年事業年度終了後の一定期間内に定時株主総会を招集することが求められております。...
- セミナー
森田 芳玄 弁護士(弁護士法人GVA法律事務所 パートナー/東京弁護士会所属)
- 【オンライン】IPOを見据えた内部調査・第三者委員会活用のポイント
- 終了
- 2025/05/21
- 12:00~12:45

- 業務効率化
- Legaledge公式資料ダウンロード

- 解説動画
江嵜 宗利弁護士
- 【無料】新たなステージに入ったNFTビジネス ~Web3.0の最新動向と法的論点の解説~
- 終了
- 視聴時間1時間15分
- 弁護士
- 福丸 智温弁護士
- 弁護士法人かなめ
- 〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満4丁目1−15 西天満内藤ビル 602号