消費税転嫁対策の取組まとめ(27年6月)
2015/07/17 税務法務, 租税法, 税法, その他
概要
消費税転嫁対策特別措置法は、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保するため、消費税の転嫁拒否等の行為の是正に関する措置、消費税の転嫁を阻害する表示の是正に関する措置、価格の表示に関する措置等を定めた法律である。
このうち消費税の転嫁拒否等の行為の是正に関する措置については、特定事業者(※1)による特定供給事業者(※2)に対する消費税の転嫁拒否等の行為の禁止を定めている。具体的には、①減額または買いたたき、②購入強制もしくは役務の利用強制、または不当な利益提供強制、③税抜き価格での交渉の拒否、④報復行為の4類型を禁止している。特定事業者がこれらの行為を行った場合には、指導・助言、勧告・公表等の取締りが行われる。
※1・・・①大規模小売事業者、②特定供給事業者から継続して商品又は役務の供給を受ける法人事業者
※2・・・①大規模小売事業者に継続して商品又は役務を供給する事業者、②資本金等の額が3億円以下である事業者、個人事業者等
具体的な取り組み
公正取引委員会と中小企業庁は、合同で大規模な情報収集を行っており、中小企業・小規模事業者等全体に対しての書面調査や、大規模小売事業者及び大企業等(買手側)に対して報告義務を課して回答を求める書面調査を実施している。また、事業者及び事業者団体に対するヒアリング調査も、合わせて行っている。
そして、これらの情報を踏まえて、立入検査等の調査や改善措置、勧告・公表を行っており、今後も積極的に行っていくこととしている。
勧告を受けた最近の事例
(1)株式会社西松屋チェーン(平成27年6月12日)
乳幼児等の衣料品等を販売する株式会社西松屋チェーンは、店舗等の賃貸人の一部に対し、消費税率の引上げ分を上乗せせずに賃料を据え置いて支払った行為につき、第3条第1号後段(買いたたき)違反が認められ、勧告・公表が行われた。
(2)株式会社主婦と生活社(平成27年7月9日)
主婦と生活社は、自社の雑誌等に掲載する原稿、写真等の作成又は編集、校正等の業務を委託しているところ、一部の事業者に対して、委託料について消費税率の引上げ分を上乗せせずに支払った行為につき、第3条第1号後段(買いたたき)違反が認められ、勧告・公表が行われた。
コメント
平成25年10月1日に消費税転嫁対策特別措置法が施行されて、1年8ヶ月が経過した。これまで指導・勧告が行われてきた違反事件のほとんどは、第3条第1号後段(買いたたき)が対象となっており、買い手企業としては契約内容の見直しやコンプライアンスの整備・強化をしていく必要がある。また、消費税転嫁対策に関しては、公正取引委員会・中小企業庁を主体に政府全体として積極的な取り組みを行っており、平成29年4月には消費税が10パーセントに上がることで、さらに厳正な取り組みが予想されることから、各企業においては慎重に対策を進めていくことが求められる。
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