法人税の申告・納付まとめ
2023/01/20   税務法務, 租税法

はじめに


個人事業主や、会社員が所得税を申告する確定申告。医療費控除などを受ける目的で取り組む人も多いのではないでしょうか。2月になると税務署が賑わうというのは、もはや冬の風物詩ともいえるでしょう。企業にも当然、税の申告義務があるのはご存知の通りだと思います。

企業が主に収めることになる法人税は、申告期限はそれぞれの会社の決算時期により決まります。誤って申告漏れをしてしまうとどうなるのかなど見ていきます。

 

法人税について


まずは法人税について説明します。法人税は、法人である企業がビジネスをする中で得た所得に対して課される税です。

所得金額は、簡潔にいうと、益金(商品・製品などの販売による売上収入)から、損金(売上原価や販売費、災害等による損失など費用や損失額)を引いた金額です。差し引き後の金額が所得と呼ばれ、税率をかけて税額控除額を差し引くことで算出します。法人の所得にかかる法人税率は「比例課税方式」のため、所得金額の大きさに関わらず一律の税率23.20%(2023年1月現在)が適用されます。

ただし、資本金が1億円以下の中小法人については軽減税率が適用されます。また、所得金額が800万円以下だと税率が異なり、年800万円以下の所得金額については15%となります。

国税庁 法人税の税率

法人税の申告期限は、「事業年度終了日の翌日から2月以内」と定められていて、いわゆる決算日の翌日から2月以内ということです。
仮に3月31日が決算日であれば5月31日までが申告期間となります。もし5月31日が土日祝日などで閉庁日である場合は、次の開庁日が申告期限になります。

 

申告・納付をしなかったら


法人税の申告は期限内に行わなければいけません。何らかの事情で申告期限を過ぎてしまった場合は、加算税が発生します。
加算税とは、実際に納める税金である本税とは別に課される税のことで、4種類あります。

・過少申告加算税
・無申告加算税
・不納付加算税
・重加算税

また、申告期限・税金の納付期限の両方を過ぎてしまった場合、法定納期限から算出した延滞税も発生するため、無申告加算税と延滞税の両方が課されます。

延滞税は利息のようなもので、納付期限から実際に納付するまでの期間分の日数が対象となります。期間などにより、税率は変わりますが、納期限の翌日から2か月を経過した日以後、原則として年「14.6パーセント」かかるなど大きな負担となります。

国税庁 延滞税について

 

悪質性が高いと法人税法違反も


うっかり申告期限を過ぎてしまった、勘違いしていた、申告が必要だと思わなかった。こうした過失ではなく、故意に所得を隠していると国税庁などが調査に入り、最悪の場合、逮捕されることもあります。
 

○重量機器の搬入会社 前社長が有罪に 
重量機器の搬入会社と前社長は架空の外注費用を計上し所得を少なく見せかけて法人税を免れたり、仕入れを多く計上して消費税を免れたりして合計およそ1億円を脱税したとして法人税法や消費税法違反の罪に問われてたケース。
判決は、前社長に対し懲役1年6か月、執行猶予3年。
会社は罰金2500万円の支払いを命じられました。

○広告会社 7600万円の脱税
会社代表は外注先の業者に、架空の請求書や代金水増の請求書を作成させ、自身の会社経費を高く装う方法で、3年間で約2億4100万円の所得を隠し、法人税など約7600万円を脱税した疑いで告発されました。

なお、国税局から告発されると逮捕はされず、検察庁から在宅で取り調べが始まり、裁判で審判が下されます。

 

コメント


適切に納めていれば問題のない税金。一方で期間を誤ったり、勘違いするなどし、ミスをしてしまう企業も少なくありません。決算前後から注意喚起を行うなど、会社全体で適切な申告・納付が実現できるよう取り組むことが重要です。
 

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