企業の法務担当者需要と司法試験受験生の希望
2015/06/05 法務採用, 民法・商法, その他

企業における法務担当者需要
近年、企業内における法的素養を持った人材に対する需要が増してきている。1日、日本年金機構の個人情報の漏洩が発覚したが、個人情報の漏洩は公的機関だけでなく、一般企業においても度々取り上げられており、情報漏洩防止のためのコンプライアンス強化が強く望まれている。また、国内の慣習や法律とは異なる外国企業との契約においては、英文契約書について法的に対処できる人材が必要となる。
日本組織内弁護士協会(JILA)によると、全国の企業内弁護士数は2008年では354人であるのに対し、2014年には1179人と大幅に増員しており、企業内における法的素養をもった人材に対する需要増が伺える。
増加する需要に対しては、まず社内で法的素養を持った者に法務を担当させることが望まれるが、法的素養が培われている人材が社内に充実している企業は少ない。次いで法務経験者を新たに採用する事が望まれるが、法務担当者となりうる人材は売り手市場にあり、企業が法務経験者を獲得するには困難な状況にある。そこで、近年においては司法試験受験を通して法的素養を培った予備試験合格者や法科大学院修了生を採用し、企業法務を担当させることが増えてきている。
企業への就職を希望する司法試験受験生の現状と今後
6月4日、法務省の発表によると平成27年司法試験(短答式試験)の受験者数は8016人中合格に必要な成績を得た人数は5308人であり2708人が不合格となった。司法試験を不合格となった者は、法科大学院で3年間(未修者)または2年間(既修者)を経て培った法的素養を活かすために企業法務に従事することを望むことが多く見られる。
また、21日、今後の司法試験の合格者数について、当初の3000人から「1500人程度」を毎年維持するとの政府案が示された。これにより、今後長期的にみれば司法試験受験希望者数は低下していくと思われる一方で、短期的には司法試験制度改正により受験回数制限が5回までに拡大されたことから一定の司法試験受験者数を維持すると予想される。そのため、司法試験に合格しなかった司法試験受験者のうち、司法試験受験から一般企業への就職に転身する者が近年増加すると思われる。
コメント
企業においては法務担当者に対する需要が増加していく中で、上場企業であっても法務部といった法務の専門部署を有していない一般企業も多い。将来的に法科大学院修了生を採用し、法的素養をもった人材を社内に増やしたいと希望する企業の需要が法科大学院修了生の希望とが一致すれば、日本の企業法務における多様性が増していくものと思われる。
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