違法残業を強いる企業を積極公表へ
2015/05/20 労務法務, 労働法全般, その他

概要
今回の制度開始により、労働基準法違反の残業を繰り返す企業に対しては、行政指導後に是正されなければ、送検前でも企業名、事実が公表されることになった。
元々、厚生労働省は、今年1月から、過重労働対策の強化として、月100時間を超える残業が行われている事業場等を対象に、監督指導を徹底し、監督の結果、違反・問題等が認められた事業場に対しては、是正勧告書等を交付し、指導するとしていた。また、違法を是正しない事業場に対しては、送検も視野に入れて対応し、送検した場合に企業名等を公表するとしていた。今回の制度運用により、企業名等の公表が前倒しして行われることになった。
制度の仕組み
・目的
長時間労働に関する労働基準法違反の防止を徹底し、企業における自主的な改善を促す。
・指導・公表の対象
次の①②のいずれにも当てはまる場合。
①複数の都道府県に事業場を持ち、中小企業(中小企業基本法の「中小企業者」)でない企業。
→「中小企業者」とは
ア卸売業の場合:資本金額又は出資総額が1億円以下で、従業員数が100人以下
イサービス業の場合:資本金額又は出資総額が5千万円以下で、従業員数が100人以下
ウ小売業の場合:資本金額又は出資総額が5千万円以下で、従業員数が50人以下
エその他業種の場合:資本金額又は出資総額が3億円以下で、従業員数が300人以下
②違法な長時間労働(a)が、相当数の労働者(b)に認められ、一定期間内に複数の事業場(c)で繰り返されている。
→具体的には、
(a)労働時間、休日、割増賃金についての労働基準法違反が認められ、1か月当たりの時間外・休日労働時間が100時間を超えている。
(b)1ヶ所の事業場中、10人以上又は4分の1以上の労働者
(c)約1年間に3ヶ所以上の事業場
・対応
対象に該当した場合、都道府県労働局長が企業に対して、是正指導する。それでも是正されなければ事実を公表する。
企業の取り組み具体例
違法な長時間労働削減のため、ユニークな取り組みをしている企業がある。
・東京急行電鉄株式会社
本社事業所では毎週水・金曜日を省エネルギー家庭の日と設定し、所定外労働を原則禁止。また、毎月労務担当部長から全統括部長に対し所定外労働の実績を通知すると共に、各種注意喚起や休暇促進を実施。
・アステラス製薬株式会社
毎週金曜日は、各事業場の所定労働時間から1時間 45 分短縮する Family Friday(FFデー)を実施。多くの事業場で 16 時には終業。FF デーに 16 時に退社できない社員については、健康管理時間の実績、裁量労働の運用状況、年次有給休暇の取得状況、長時間労働などを確認すると共に事業場安全衛生委員会で報告し、労使で状況を確認。新人のマネージャーには、健康管理時間のデータ活用などについての研修を実施。研修会、フォーラムを通じて副社長が管理者としての時間管理の意識付けのための説明を実施。
・その他、下記関連サイト「働き方改革取組事例」に様々な事例が紹介されている。
コメント
ブラック企業への就職は避けるという昨今の流れの中で、違法な長時間労働企業として公表されれば、優秀な人材が集まらなくなる可能性はある。公表されないよう、上記具体例等を参考に、具体的な改善策を立案してみてはどうだろうか。
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