司法取引が導入されたら、企業にどう影響するか?
2015/04/22 コンプライアンス, 刑事法, その他

制度概要
司法取引とは、被疑者・被告人が他人の犯罪について供述することを条件に、検察官が不起訴処分・求刑の引き下げ等を行うことを合意する制度をいう。対象犯罪の例は、詐欺・横領など刑法犯、租税法・独禁法・金商法違反の犯罪などが挙げられる。
法律が成立した場合、企業内では次のような事態が想定される。組織ぐるみの犯罪の場合、下層部の社員が上層部の関与について供述することを条件に不起訴処分の合意を得る。また、企業内の複数の部署や支社で同様の不祥事が行われていた場合に、社員が不起訴処分を得るために、他の部署・支社の不祥事を申告する。
不祥事が直接外部に漏れると企業は信頼失墜などにより多額の損失が出る。また、不祥事が発生した場合、犯罪に関与した社員が自分の罪を軽くするため、実際にはないことまで言う可能性がある。
そこで、まずは企業が不祥事を起こさないようにするのが大切である。また、不祥事が起きた場合でも社内ですぐに対応するよう、コンプライアンス体制を整備しておく必要がある。
コメント
法務部、コンプライアンス部など担当部署は、改正法施行後、社員がスムーズに対応できるように、今のうちからコンプライアンス体制の見直しをする必要があるのではないか。具体的な対策としては、以下が挙げられる。
①普段
・内部通報制度や不祥事発生に対応する手続きを整備する。
・内部監査により事前に違法行為の発見に努める。
・研修等を通じて不祥事を看過せず対応することを社員に対して周知徹底する。
②万一不祥事が発生した場合
・上層部主導で迅速に社内調査委員会や外部弁護士等による第三者調査委員会を立上げ、事実関係の調査や再発防止策を検討する。
・捜査が開始された場合は、上層部が積極的に行政庁の調査や捜査機関の捜査に協力する姿勢を示す。
具体例
アサヒグループホールディングスは「リーガルプロモーター制度」を導入している。内容は、研修に参加後、一定の知識を持った従業員をリーガルプロモーターとして社内に配置し、最新の法務知識や事例を共有するというもの。また、各現場のリーガルプロモーターなどが、派遣・臨時社員も含むグループ全従業員を対象に研修を実施している。詳細については、こちらを参考にされたい。
アサヒグループホールディングス
参考文献、関連サイト
・参考文献 BUSINESS LAW JOURNAL NO78 2015/6号 甲斐淑浩 「司法取引」導入の影響
・関連サイト
改正法案
第三者調査委員会については、第三者調査委員会報告書格付け委員会により、過去の報告書について弁護士が格付けしている。参考にされたい。
第三者調査委員会報告書格付け委員会
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