改正特許法等の施行に備えて確認したいポイント
2015/01/29   知財・ライセンス, 商標関連, 特許法, 商標法, その他

昨年改正された特許法、商標法などが本年4月1日より施行される。改正法のポイントについて、改めて確認したい。

特許法

救済制度の拡充
・出願人にやむを得ない事由(災害など)が生じた場合には、手続期間の延長が可能となる。

・優先権主張を伴う特許出願について、優先期間内に正当な理由があり、出願することができなかった場合は、一定の期間内に限り優先権の主張をすることができる。
※優先権制度:最初の出願から1年以内であれば、それを基礎とした後の出願を最初の出願の時に行われたと看做す制度。

特許異議申立て制度の創設
特許の無効を請求する場合には、特許無効審判という制度がある。同制度は誰でも、またいつでも請求可能であるため、権利の早期安定化という観点から問題があった。また口頭での審理が原則であるため手続き上の負担も大きかった。
改正法では、特許掲載公報の発行日から6ヶ月間に限り、特許異議申立て制度が創設された。
この制度は、誰でも請求することはできるが、審理は書面のみに限っている。
また、特許無効審判制度は、異議申立て期間を経過した後 、利害関係人のみ請求可能なものとなる。
つまり、特許の無効を争う場合には、まず特許異議申立てを行い、6ヶ月経過後は特許無効審判を請求することになる。

商標法

保護対象の拡充
色彩や音からなる商標を保護対象に追加する。日本企業が欧米などで、色彩や音を商標登録するケースが増えている(MONO消しゴムのパッケージ、久光製薬のCMでも流れる音階など)日本でもそうしたニーズに応えることになる。

地域団体商標の登録主体の拡充
地域団体商標(地域名と商品名からなる商標:益子焼、大間マグロなど)の登録主体は、現行では事業協同組合などに限られている。商工会、商工会議所、NPO法人が登録主体に加わることで、こうした団体も、権利侵害への差し止めや損害賠償請求といった権利行使が可能となる。

意匠法

複数国に一括出願するための規定の整備
ジュネーブ改正協定(加盟国のうち複数国への意匠の一括出願を可能にする協定)に対応するために、国内規定を整備する。一括出願によって、国際出願にかかるコストの低減が期待できる。

国際出願法

手数料納付手続の簡素化
国際出願をする際の、他国の特許庁等に対する手数料を、日本特許庁に対する手数料と一括で納付できるようにする。

今後の動向

日本企業が海外市場での競争に勝ち残っていくためには、知的財産権を効果的に活用していく必要がある。今回の法改正も企業競争力強化のための一環であるといえる。
また、政府は、現在特許の申請から取得まで平均29ヶ月かかっているものを、2023年度までに半分以下の14ヶ月以内にする目標を掲げている。

さらに、知的財産権の取得にかかわる負担の軽減のため、特許庁は特許料金等の料金改定を検討しているとの報道もある。
特許権の出願料、また権利を維持するための年間料金とも、1割から2割下げる方針のようである。商標の登録料と更新登録料も、一定程度引き下げる方針が示されている。
金銭的、時間的コストの更なる減少が実現すれば、企業の知財戦略にとって大きなプラスになることは間違いない。

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