軽減税率 検討委員会設置 今秋具体案
2015/01/27   税務法務, 租税法, 税法, その他

事案の概要

 自民、公明両党は1月26日の与党税制協議会で、食料品などの生活必需品にかかる消費税率を他品目に比して低く抑える軽減税率の具体的な制度設計を議論する検討委員会を設置した。
 自公両党が、軽減税率について具体的な議論をするための委員会を設置したのは今回が初めてとなる。自民税制調査会は、対象品目の線引きの困難さを理由に軽減税率導入に慎重な姿勢を示してきたが、安倍首相の検討表明や公明党の議席増を受け、作業を加速させることにした。

軽減税率については、消費税率を10%に引き上げる予定の2017年度の導入を目指している。今年2月上旬から議論を始め、対象品目の選定、実際に納税する事業者の経理負担への配慮、安定財源の確保などの課題について、今秋を目途に具体的な制度案をまとめる方針である。

中でも、最大の焦点は対象品目の選定である。与党税制協議会は昨年6月、軽減税率の対象となる飲食料品につき、「すべての飲食料品」とするものから「精米のみ」とするものまでの8案を示している。さらに、与党内では、新聞や書籍なども対象にすべきという意見もある。仮に、飲食料品全般に軽減税率を適用すると、消費税率1%当たり6600億円の税収減になると試算されている。
今回の委員会では、消費者にとっての分かりやすさという観点はもちろん、関連業界についても経理作業に混乱を招かないようにするという観点からも、具体的な対象品目の選定をさらに進めていくことになる。

コメント

企業にとって、自社製品が軽減税率の対象になるか否かは経営に大きく関わる問題であり、対象を狭めすぎた場合、対象外の業界からの反発が予想される。一方で、対象を広げすぎた場合、税収の減少が大きくなり、減税分の補填に伴い社会保障財源を圧迫しかねない。そのため、対象品目の線引き作業には慎重にならざるを得ないのが現状である。
先述の通り、与党税制協議会は、2017年度に軽減税率の導入を目指す方針であるが、その具体的時期までは示しておらず、先送りの可能性は残っている。
しかし、もともと軽減税率は、消費税率引き上げにあたり低所得者の負担を軽減する措置として検討が始まったものであり、制度設計が遅れれば家計負担がさらに増し、増税時に消費者の反発が広がりかねない。また、スーパーマーケットなどの店頭の税制に対応した会計システムの開発などには1年以上の時間がかかる。そのため、早期に具体的な制度設計をすべき要請は大きい。
税収確保の必要性、消費者にとっての分かりやすさ、企業の経営への影響を十分に考慮したうえで、できるかぎり早期の具体的な制度設計が望まれる。

関連サイト

日本経済新聞

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