改めて考える営業秘密の守り方
2015/01/21   知財・ライセンス, 情報セキュリティ, 不正競争防止法, その他

特許庁は19日、中小企業などからの営業秘密、知財戦略に関する相談窓口を開設することを発表した。同日から相談予約の受付を開始し、2月2日から独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)で窓口を設けての相談がスタートする。

詳しい内容はこちら(経産省HP)

主に中小企業を対象として 特許としての権利化・ 秘匿化を選択した際の営業秘密の管理手法や営業秘密の漏えい、流出などに関する相談に対応するという。
重要な情報が漏洩するケースが増えている現在、改めて営業秘密について考えたい。

不正競争防止法上の「営業秘密」の要件

企業秘密のうち一定の要件を満たしたものが、「営業秘密」として不正競争防止法における保護の対象となる。具体的には、次の3つの要件を満たす必要がある。

①秘密管理性(秘密として管理されていること)
当該情報にアクセスできる者を制限し、情報に触れた者がそれを秘密であると認識できる必要がある。

②有用性(有用な営業上、または技術上の情報であること)
当該情報が客観的に事業活動に利用されることによって、事業上役立つものでなければならない。顧客名簿や販売マニュアル、製造についてのノウハウなどである。この有用性は保有者の主観ではなく、客観的に有用か否かで判断される。

③非公知性(公然と知られたものでないこと)
保有者の管理下以外では、一般に入手できないものである必要がある

営業秘密という概念の意義

保有している技術、ノウハウを守る手段として、知的財産権という形で保持する方法が考えられる。権利化することで、その内容が明確になり、譲渡可能な排他的独占権を取得できる。もっとも、権利出願内容を公開することが前提となっているので、第三者に技術開発の動向を知られたり、周辺特許を取得されるおそれもある。また、権利の保護期間の問題もある。
一方、営業秘密は非公開なので第三者に自社の動向を明らかにすることなく保護する事ができる。保護期間の制限もなく、実験データや製造ノウハウなどの権利化になじまないものを保護するのに適している。
もっとも、適切な管理をしていないと不正競争防止法上、保護されなくなってしまう。一般の不法行為法よりも保護が厚くなるため、重要な情報は「営業秘密」として保護するほうが効果的である。

営業秘密の守り方

営業秘密として認められるための「秘密管理性」の要件について裁判所は、①アクセス制限の存在、②客観的認識可能性の存在を必要としているが、裁判例で考慮されている具体的な管理方法(施錠されている保管室への保管、事務所内への外部者の入室禁止、電子データの複製等の制限、コンピュータへの外部者のアクセス防止措置、システムの外部ネットワークからの遮断、就業規則や誓約書・秘密保持契約による秘密保持義務の設定、情報の扱いに関して上位者の判断を求めるシステムの存在など)すべてを実施していることまでを求めているわけではない。
事業規模、業種、情報の性質、侵害態様等も踏まえて、秘密管理の合理性を総合的に判断する傾向にあるといわれている。
企業としては、具体的管理方法を適切に組み合わせることによって、管理水準を一定以上のものに保つことが必要である。

一方、経産省・特許庁が昨年11月にまとめた、「営業秘密管理指針改定案」によれば、「営業秘密」として保護される要件が緩やかになる方向だ。書類には「マル秘」などと表示し、ほかの資料と区別して管理すれば要件を満たす。製造物そのものが営業秘密である場合は、部外者の立ち入りを制限したり、営業秘密に該当するもののリストをつくり、従業員に示すことで、適切に管理していたとみなされる。もっとも、この指針が裁判所の判断にどのような影響を与えるかは不透明であるため、注意を要する。

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