クレームストーカー対策を考える
2015/01/15 コンプライアンス, 危機管理, 民法・商法, 刑事法, その他

事案の概要
最近、「クレームストーカー」の被害が増加し、企業や自治体が対応に苦慮しているという。「クレームストーカー」とは、仕事に対する苦情を名目に、接客や窓口業務などを担当する異性につきまとう者をいう。一見すると商品やサービスへのクレームのように装っているものの、金品や過度の謝罪行動を目的とする従来の悪質なクレームとは異なり、恋愛目的により担当者と接触する事に特徴がある。その意味では、恋愛目的が主たるものであるからストーカー規制法における「ストーカー行為(ストーカー規制法2条2項)」に当たりうる。しかし、恋愛感情の立証は困難であることから、規制に苦慮しているのだという。
企業と従業員をストーカーから守る
企業からすれば、このような一見すると「クレームストーカー」と思える者であっても、外見上顧客であり対応に苦慮するところである。
しかし、要求如何によっては刑事事件として警察に通報できる場合もある。たとえば、店内で店員の制止に従わず大声を出し続けると威力業務妨害(刑法234条)にあたる可能性があるし、無理やり土下座させたり、謝罪文を書かせれば強要罪(刑法223条)に当たる可能性もある。
もっとも、「クレームストーカー」がストーカー規制法の制限を巧みにくぐっていることからも、このような者がある程度の法律の知識を身に付けている可能性は高い。
このように、相手が法的規制をくぐる巧妙な手口を使ってくる以上、企業としては、適切な法律知識を身につけた担当者を配置し、法律的にグレーゾーンな行動の中から違法といえる行為をしっかり見極めた上で、毅然とした対応をとることが必要となる。その際には、対応自体を録画・録音により証拠を保存したり、当該窓口業務の担当者を保護するための対応マニュアルの作成も必要となるであろう。
企業の顧客対応については、仮に不適切な対応をすれば、SNSを通じて汚名が一気に拡散してしまう恐れがある。一度ついた汚名は企業存続をも左右しかねないだけに、企業は適切かつ誠実な対応を一層心がける必要がある。
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