【社内恋愛、禁止!】その規則、大丈夫?
2014/11/18 労務法務, 労働法全般, その他

今年(2014年)6月、都議会で妊娠や出産に悩む女性への支援策を都側に質問した議員に対し行われた「早く結婚したらいいじゃないか」という問題発言はまだ記憶に新しいと思います。また、最近では、就活、婚活に続き、妊活というキーワードも現れ、結婚への関心もさらに高まりつつあるようです。
そんな中なされた、妊娠を理由とした職場での降格を均等法違反と認めた最高裁の判断も注目を集めています。
しかし、この結婚、妊娠を後押しするような流れの一方で、その前提である恋愛については、就業規則で社内恋愛を禁止している企業も少なくないようです。
そこで今回は、そもそも職場恋愛を就業規則で禁止してもいいのか?従業員が違反したときの対応は?といった疑問にお答えしたいと思います。
1.規則で禁止の可否
法的には、これを理由に直ちに処分することはできません。恋愛は個人の自由であってそれを会社が束縛することは許されないというのが、その理由です。
ただし、規則として規定していること自体がいけないわけではありません。あくまで訓示的な規則としては意味を持ちうることから実際に定めている企業も多いようです。
規定する理由としては、例えば、①一方からの機密情報漏えいの危険、②関係が継続中であっても別れた場合であっても、職場の秩序・風紀の維持の必要性、③別れた後のセクハラの危険といったものがあげられます。
2.規則に違反した場合の対応
(1)懲戒処分は?
前述のように、この規則違反そのものを根拠として何らかの処分をするというのはできません。
しかし、例えば、「従業員が素行不良で社内の秩序及び風紀を乱したとき」には懲戒処分ができるというような規定を就業規則に定めておけば、この規定を理由として処分できる可能性はあります。
ただし、裁判所の運用は、会社の社会的評価に及ぼす悪影響が相当重大であると客観的に評価されるようなものでなければ、上記規則の「社内の秩序及び風紀を乱した」には当たらないという形で行われているようです(最高裁昭和49年3月15日参照)。よって、社内恋愛の場合も、会社の評価などに悪影響を及ぼしたり、客観的にみてその悪影響が相当重大であるという状態でなければ、おそらく懲戒処分はできないと思われます。
なので、処分できる社内恋愛というものは、法的にはほとんど想定しづらいと思ってもよいでしょう。
(2)多くの企業の運用は?
では、多くの企業ではどのように対処しているのでしょうか。社内恋愛が発覚した場合、周囲の他の従業員への配慮や当人同士の恋愛が仕事や社風に悪影響を及ぼさないようにすることがまず大事になってきます。
当人が気まずさなどを理由に自ら辞める例もあるようですが、会社としては配置転換などで対応することが多いようです。しかしその際には、社内恋愛自体とは直接関係のない業務上の必要性を理由としているようです。
関連サイト
都議会のヤジ問題 再発防止議連会長、自らの発言で陳謝
平成26年10月23日 最高裁判所第一小法廷 判決 破棄差戻
最高裁が初判断 妊娠を理由とした降格は均等法違反(法務ニュースナビ)
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