海外で、自社製品の欠陥で損害を生じさせると・・・・・・
2014/11/14 海外法務, 海外進出, 外国法, メーカー
エアバッグの故障でリコール
ホンダとタイの現地法人は13日、自動車部品メーカー「タカタ」製造の運転席のエアバッグの故障により負傷する恐れがあるとして、軽自動車「ザッツ」と乗用車「フィットアリア」の計7万797台(2002年1月~08年1月製造)をリコールすることにした。なお、海外販売分についてもリコールがとられる。
日本企業の製品に欠陥があり、海外にてその製品により使用者の生命・身体に影響が生じた場合、いかなる国の法が適用されるのだろうか。ここでは日本の裁判所に裁判管轄が認められた場合を想定する。
不法行為の準拠法
外国と日本、どちらの法が適用されるのかについては法の適用に関する通則法(以下、通則法)によって定められている。
一般的に、不法行為責任については、原則として加害行為の結果が発生した地の法が適用される(通則法17条)。例えば、日本企業が大気を汚染し、海を越えたA国国内で被害を生じさせた場合、A国法が適用される。しかし、これが本件のような自動車製品という生産物に故障があったことによって生じた損害であった場合は、通則法上に特則がある。
引き渡された商品の欠陥が原因で他人の生命・身体を侵害した場合、被害者が商品の引渡しを受けた地の法が原則適用される(通則法18条)。例えば、日本企業の製品がA国に輸出されA国で消費者の手に渡ったがその製品に欠陥があり負傷した場合、A国法が適用される。
ただし、例外として、通常予見することのできない場所で商品が引き渡されたときは、その企業の主たる事業所がある地の法による(通則法18条ただし書)。例えば、日本の業者が物をA国に輸出したが、途中盗難されB国にて販売され製品の欠陥で負傷した場合を挙げることができる。
外国法が適用されても、責任を負うのは日本法の限度
外国法が適用されたとしても、損害賠償責任は日本法で認められる範囲に限られる(通則法22条)。例えば、英米法では、懲罰的損害賠償(加害行為が悪質の場合、損害の他それを上回る損害の賠償を命じる場合がある)が認められているが、日本において懲罰的損害賠償は認められない。このため、懲罰的損害賠償責任まで企業は負う必要はない。
本件で適用される法
もし、日本企業が生産した自動車に搭載されているエアバッグという生産物が壊れているために海外で死亡事故が発生したのであれば通則法18条が適用され、製品の引き渡しを受けた国の法律が適用されることになる。となると、海外との取引を行っている場合、外国法が適用される場合が多いであろう。
今後重要になる通則法
以上のように、国際取引上トラブルが発生した場合、法の適用に関する通則法が問題となる。今後日本がTPPに参加すると、海外との取引の増加が予測される。となれば、さらに利益を生み出すためには海外展開を意識する必要があり、そのために通則法の知識は必須である。これを機に、通則法を改めて再度確認してはいかがだろうか。
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