【米マクドナルド】期限切れ肉使用問題、影響大きく11年ぶりに売上高大幅減
2014/08/11 コンプライアンス, 民法・商法, その他
事案の概要
米マクドナルドは7月の世界既存店売上高が前年比2.5%減であったと発表した。落ち込み幅は2003年3月(3.7%減)以来、11年4カ月ぶりの大きさとなる。
これは、7月に中国の食肉加工会社が期限切れの肉を使用していたことが発覚した問題の影響により日本や中国などのアジア地域での客数が減少し売上が大幅減となったことが原因とみられている。中国では主力の「ビッグマック」や「スパイシーマックウィング」などの販売停止を余議なくされ、日本でも「チキンマックナゲット」の販売が中止されるなど、アジア太平洋・中東・アフリカ地域の既存店売上高が7.3%の大幅減となった。
日本マクドナルドHDのCEOは、今回の問題について「1つの都市の1つの供給業者の悪意を持った数人の従業員によるもので、大変憤りを感じる」とし、「供給業者の検査を厳しくして頻度も上げ、高品質の商品の提供に全力を傾ける」との再発防止策を掲げた。
また、こうした事態を受けて米マクドナルドは、「中国の仕入先に絡む問題によって、2014年の世界既存店売上高見通しがリスクにさらされている」とした。近日中に中国の店舗での「マックチキンナゲット」の販売を再開させるとの目標を発表したものの、2014年の世界売上高見通しについては達成できない可能性があるとして影響の大きさを危惧している。
コメント
食の安全は消費者にとって最も身近で無視できない問題であり、食品を扱う企業にとって商品である食品の安全について問題が発覚したことは命取りともいえる。一旦その安全に疑問が生じた場合、店舗に客足を戻すには可及的速やかに信頼を回復する必要がある。しかし、過去、食の安全について不祥事が発覚した企業の例を見る限り、信頼の回復はそう簡単なことではない。
また、このような問題が生じた場合、当該食品の安全に対する消費者のイメージが崩れ、問題が発覚した企業のみならずその食品を扱う業界全体が影響を受けることとなる。今回、マクドナルドの問題発覚によりファストフード業界全体に対し消費者の信頼は大きく揺らいだといえよう。食の安全が正常に提供されないとして消費者に不利益が生じるのはもちろん、当該産業全体も市場・需要が崩壊するといった被害を受けることとなる。
今後、問題となった企業内部のガバナンスのみならず、影響が産業全体に及ぶ可能性があるということを意識し、内部統制の構築やコンプライアンス意識を向上させる施策を共有するなど産業全体でガバナンスに取り組むことも必要になると考えられる。
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