リコー、出向・配転命令取り消しへ
2014/07/22 労務法務, 労働法全般, メーカー

事案の概要
社員を不本意な部署などに異動させ退職を促す「追い出し部屋」の問題で、コピー機大手のリコーは、希望退職に応じなかった約100人に対する出向・配転命令を取り消す方針を固めた。デスクワーク主体の仕事から、肉体労働の必要な仕事などに異動させた全員を今秋にも元の職場などに戻すという。
リコーの命令に対しては、「人事権の乱用」で無効とする判決が出ており、批判の高まりで撤回に追い込まれることになった。
リコーは2011年、国内外で1万人を減らすリストラ計画を発表し、1600人を目標に希望退職を募った。実際はリストラ対象者を選んだうえで退職をすすめたが、応じなかった40~50歳代の152人を、技術・開発職などデスクワーク中心から、コピー機の解体といった肉体労働を伴う職場などに異動させていたという。
コメント
出向については、労働契約法14条に定めがある。これによると、出向の権利濫用が認められる場合、出向命令は無効となるとしている。具体的には、使用者側の「業務上の必要性」と「出向者の労働条件および生活上の不利益」とを比較衡量し、労働条件が大幅に下がる出向や復帰が予定されない出向は、整理解雇の回避等、それを肯定する企業経営上の事情がない限り、権利濫用と判定されることになる。
出向命令の有効・無効が争われた過去の裁判例として、国鉄民営化に伴い設立されたJR東海に採用され、新幹線の車両検査・修理係、運転手などに従事していた国労組合員8名に対する関連会社(車両清掃・保線・運搬等の下請会社)への出向命令を無効とした裁判例(大阪地裁、昭和62年11月30日)、取引先会社への出向命令を業務上の必要性、人選の合理性ともに認められないとした裁判例(最高裁、平成4年1月24日)等がある。
2013年11月12日、東京地裁は、リコーの出向命令に対して、「人事権の乱用」で無効とする判決を言い渡しているが、これは、同条の規範に即して判断されたものと思われる。
関連コンテンツ
新着情報

- 業務効率化
- Mercator® by Citco公式資料ダウンロード

- セミナー
登島和弘 氏(新企業法務倶楽部 代表取締役…企業法務歴33年)
- 登島さんとぶっちゃけトーク!法務懇談会 ~第15回~
- 終了
- 2025/04/23
- 19:00~21:00

- 業務効率化
- クラウドリーガル公式資料ダウンロード

- 解説動画
江嵜 宗利弁護士
- 【無料】今更聞けない!? 改正電気通信事業法とウェブサービス
- 終了
- 視聴時間53分
- 弁護士
- 原内 直哉弁護士
- インテンス法律事務所
- 〒162-0814
東京都新宿区新小川町4番7号アオヤギビル3階

- ニュース
- 都内大手ホテル15社、価格カルテル(独禁法)のおそれで公取委が警告へ2025.4.21
- 都内の大手ホテルを運営する15社が客室単価などの情報を共有していた件で、公正取引委員会が独占禁...
- 弁護士
- 平田 堅大弁護士
- 弁護士法人かなめ 福岡事務所
- 〒812-0027
福岡県福岡市博多区下川端町10−5 博多麹屋番ビル 401号

- 解説動画
加藤 賢弁護士
- 【無料】上場企業・IPO準備企業の会社法務部門・総務部門・経理部門の担当者が知っておきたい金融商品取引法の開示規制の基礎
- 終了
- 視聴時間1時間

- まとめ
- 中国:AI生成画像の著作権侵害を認めた初の判決~その概要と文化庁「考え方」との比較~2024.4.3
- 「生成AIにより他人著作物の類似物が生成された場合に著作権侵害が認められるか」。この問題に関し...