新潟市農業特区へ、農業の多角化も
2014/03/31 法務相談一般, 民法・商法, その他

概要
政府は28日、国家戦略特区諮問会議を開催し、新潟市を国家戦略特区の一つに入れることを決定した。これにより新潟市は農業特区として農地集約による大規模農業や農業関連産業による成長を目指すことになる。
特区として認められることにより、法人の常時従事者の役員の過半数が現役農家でなければならないという農業生産法人の要件が緩和され、農地の移転手続き事務など農業委員会の権限の一部を市が担うことが見込まれる。また農業分野への信用保証制度の導入や他産業との連携による6次産業化の推進、ベンチャーの農業参入を促すために雇用主の責任を軽減する制度なども見込まれている。
現在、法人の農業への進出の法的障壁は既に2009年の農地法の改正によって賃貸借に関しては以下の条件を満たすことで認められており、大きく緩和されている。(農地法では農地の賃貸借については民法上特例として50年まで可能)
・農地の適切な利用しない場合への解除条件を付すこと
・集落での話し合いへの参加、農道や水路の整備といった地域における適切な役割分担のもとに農業を行うこと
・業務執行役員が1人以上農業に常時従事すること
今回の農業特区はここにとどまらず、農業生産法人について要件を緩和することで農地の取得に関しても農業従事者以外の参画を促し農業の多角化を進め、さらに移転手続きの円滑化によって大規模経営農業を推進して農業の発展を促す狙いがある。
コメント
昨年12月5日に農地利用の流動化と円滑化を図って農地中間管理機構を立ち上げる法改正がなされるなど、ここ最近で農業をめぐる法律の動きは活性化してきている。こうした動きの中心には農業の集約化と他産業とのシナジーを狙った「農業の6次産業化」があると考えられるが、今回の特区指定によって法人の農業参画の法的障壁がどれほど緩和されるのかはまだ未知数であるといえる。また農業は土地の住民と密接にかかわりあう産業でもある。仮に法的障壁がなくなっても、農地の利用のみならず水路利用や農道整備など地元住民との十分な協議をないがしろにすれば争訟は不可避のものとなってしまうことだろう。企業の農業進出には今後の法改正を注視する必要がありそうだ。
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