【中国】2014年5月施行、改正商標法のポイント
2014/03/27   海外法務, 海外進出, 外国法, その他

中国で2013年8月に成立した改正商標法が今年5月より施行される予定である。本法は2003年以来、10年間の改正作業を経て成立したものであり、改正点も多岐にわたっている。以下重要と思われるポイントを挙げる。

①出願手続

a:一出願多区分制の導入
 現在は区分ごとの出願が必要であるが,改正法では一つの出願で複数の区分に出願が可能となる。これにより区分ごとの費用負担が軽減されるというメリットがある一方で、一部の区分で拒絶理由があった場合に、他の区分の審査に遅延が生じる懸念がある。

b:電子出願の導入
 現在、内国人にのみ認められている電子データでの出願が外国人にも認められるようになる。もっとも運用方法としては指定商品、役務表示は審査基準に定められている表示を用いなければならない可能再が高い。

②審査期間

 審査、審判期間に法定上限が設けられた。これによって審査等の期間短縮が期待される。例えば商標局が行う出願審査期間は出願日から9ヶ月以内、異議申し立ての審査は公告期間満了日から12ヶ月以内、商標評審委員会が行う拒絶査定不服審判の審理期間は請求受領日から9ヵ月以内となっている。

③異議申し立て制度

a:異議申し立て権者の制限
現行法は理由の制限なく、誰でも異議を申し立てることができたが、改正法では、絶対的拒絶理由である場合を除き異議申立は、先行権利者又は利害関係者のみが行うことができることとなる。

b:異議棄却に対する第三者の再審査請求手続きの廃止
現行法は、商標出願に対して第三者が行った異議申し立てを棄却された場合は、商標評審委員会に再審査請求をするこができた。
 しかしこれは手続きの長期化を招く結果となっていたため改正法では、異議棄却とされた場合は即、商標登録を受けることができ、不服のある者は商標評審委員会への商標登録に対する無効請求で争うこととなった。

④冒認出願(出願する権利のない者が出願し、権利を取得すること)対策の強化

a:商標登録、使用は信義誠実の原則に従輪なければならないとの規定の新設

b:契約、取引関係にある者が冒認出願を行った場合、当該未登録商標の使用者が異議を申し立てれば出願は拒絶される。

c: 商標代理人の負うべき義務を改正法に明記。無権代理人による商標出願、抜け駆け登録であると知りながらの出願代理の禁止。

d:先使用権者の保護の導入(未登録の商標であっても、当該商標が社会に対して一定の影響を有している場合に、商標登録者は先使用者の元の使用範囲での商標使用を禁止できない)

e:商標権侵害行為に対する罰則が強化され、法定損害賠償額が最高300万元に引き上げられた。

⑤登録対象への音声商標の追加

 音声を単独で、もしくは文字、図形、記号と組み合わせて商標出願できるようになる。この点については日本でも音を商標登録できるように法改正がなされる予定である。

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