災害と法務【労働法関連】
2014/02/24   労務法務, 労働法全般, その他

日本は地震を始め、台風、津波、豪雪など多くの自然災害がある。こういった災害にみまわれた際の労働法上の注意点を以下に挙げる。

【労働災害】

 業務中に自然災害に遭遇して怪我等をした場合、業務災害と認定されるか。
業務災害の認定は業務遂行性(労働者が使用者の指揮命令下にあること)、業務起因性(業務と傷病等との間に一定の因果関係 があること)の有無によって判断される。
 自然災害については、業務起因性が認められないのが一般的と言える。もっとも阪神淡路大震災や東日本大震災を受けての厚労省通達によれば「被災労働者が、事業場施設等の状況等からみて危険環境下にある」ことにより被災した場合は、業務災害として取り扱うとされているため、震災について行政側は業務起因性について緩やかに解していると言える。

【賃金関係】

 労働基準法26条は、使用者の責に帰すべき事由により労働者が就労できなかった場合は平均賃金の60%以上の休業手当を支払わなければならない旨規定している。
 自然災害は不可抗力であるから基本的には、休業手当は支払われない。もっとも以下の場合は休業手当が支払われる可能性がある。

①就労が不可能ではない状況で、雇用主の判断として休業を命じた場合
例:交通機関の乱れで労働者の通勤に支障がある場合
②休業を回避できる手段があるにも関わらず、操業の努力を怠り休業した場合
例:原料の調達先が被災し営業が支障をきたしているが、他の代替的な調達先があるにも関わらず、雇用主が操業中止を判断した場合

【労働時間】
 
 災害時には事業の継続のために、労働時間の大幅な延長を余儀なくされる場合がある。
 労働基準法33条は、災害その他避けることのできない事由によって臨時の必要がある場合は行政官庁の許可を受けて、その必要の限度において法定の労働時間(1日8時間以内、1週40時間以内)を超えて労働させることができる旨規定している。当該自由に該当するかは、労働基準監督署が判断するがその基準は次のとおりである。

①単なる業務の繁忙その他これに準ずる経営上の必要は認めないこと
②急病、ボイラーの破裂その他人命又は公益を保護するための必要は認めること
③事業の運営を不可能ならしめる様な突発的な機械の故障の修理は認めるが、通常予見される部分的な修理、定期的な手入は認めないこと
④電圧低下により保安等の必要がある場合は認めること

【解雇】

 会社が、唯一の事業上の施設に被害を受け、事業の継続が困難になり、法人を解散する場合は、その解散が適法である限り解散に伴う解雇は有効である。
事業の継続を前提として解雇(整理解雇)を行う場合には以下の4つの要件が必要となる(東京高裁昭和54年10月29日 )

①人員削減の必要性があること
②会社が解雇を回避する努力を行ったこと
③被解雇者の選定理由が合理的であること
④解雇の前に十分な説明と協議が行われたこと

 大規模な災害になれば、行政や金融機関による支援が行われることがあるため、このような支援策を利用せず解雇に踏み切った場合は無効と判断される可能性がある。

 労働基準法20条は使用者が労働者を解雇する場合は、少なくとも30日以内に解雇予告をするか、解雇予告をしない場合には30日分以上の平均賃金を支払う必要がある旨規定している。
 もっとも天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合等で労働基準監督署長の認定を受けたときは、例外的に支払は不要とされている。

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