非正規労働者の待遇改善へ、「働き方の多様化」提唱
2013/11/06   労務法務, 労働法全般, その他

事案の概要

 「非正規労働者の待遇改善」のため「多様な働き方」を推進していく―5日に開かれた政府・経済界・労働者の代表者による「政労使会議」の3回目の会議において、甘利明経済再生相は非正規労働者の問題につきこのように提唱し、会議を締めくくった。

 非正規労働者に関する問題については、雇用の安定化を目的として雇用期間を5年から10年に延長する労働契約法の改正案が来年の通常国会に提出される予定である。ただ、同改正案によれば正規労働者へ転身する道が5年延期されることを意味する。
 
 しかし、総務省の発表によれば、非正規社員のうち派遣労働者と契約社員の3割以上は不本意ながら非正規労働者となっているとの実態が明らかとなっている。パートやアルバイトと異なり、派遣労働者と契約社員は自身が主たる生計維持者である割合が高く、雇用が不安定で低賃金である非正規労働者の待遇では生計を維持するには苦しい。そこで、今回の政労使会議ではこうした実態を問題視し、非正規労働者の正社員化のための環境整備を推進する方向で一致した。
 
 政府が「働き方の多様化」を推進する上で想定しているのは、限定正社員の普及である。勤務場所や労働時間を限定した雇用形態である限定正社員は、厚労省の発表によれば、既に正社員300人以上の会社の半数以上が導入している。
 
 しかし、限定正社員をより多くの会社に普及させることついては連合を中心として反発が起きている。会社が勤務地や仕事内容を廃止しさえすれば、正社員であるにもかかわらず簡単に解雇でき、正規労働者の非正規化を招くとの懸念があるからである。
 
 このような中で、全日本空輸は20年ぶりに2014年4月以降入社の客室乗務員から正社員として採用し、グループ全体で約6000人いる客室乗務員のうち約1600人の契約社員についても原則正社員契約に切り替えるとの方針を発表した。他社に先行して待遇改善に取り組む理由は、長期雇用の確保や昇進・昇給による優秀な人材の確保にあるとしている。

コメント

 非正規労働者の待遇に関する問題につき、正社員への転換を目指す方向性は是認することができる。全日本空輸のように会社の自主的な判断による正社員化が他業種でも進むことが望まれるが、非正規労働者からの転換実績のある会社は3割にすぎず、急激な変化を躊躇する会社は多いだろう。
 本来、労働者の待遇改善は労使間の協議により決せられるものである以上、政府が関与するとしても、労使両者が主導してその意見が十分に反映されたものとなることが重要であろう。注目される賃上げの問題とは別に、さらなる具体的な検討の機会が望まれる。

関連サイト

経済の好循環実現に向けた政労使会議(第3回) 議事次第
総務省統計局 労働力調査(詳細集計) 平成25年(2013年)4~6月期平均(速報)結果

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