飲料業界、消費税価格転嫁カルテル申請へ
2013/10/22 独禁法対応, 独占禁止法, その他
事案の概要
清涼飲料工業会は、来春の消費増税に対する措置として、公正取引委員会に対し、商品の本体価格に増税分を上乗せすることを業界内で申し合わせる「価格転嫁カルテル」の申請をする方針である。
平成26年4月に消費税が5%から8%に引き上げられるのに伴い、スーパーなど流通各社に対し納品する価格に増税分を転嫁できなくなる状況を回避するため、清涼飲料工業会が転嫁カルテルを結ぶ必要があると判断したものである。
コメント
独占禁止法では、3条後段で、企業や事業者間で価格や生産数量、販売地域などを協定すること(これを「カルテル」という)を禁止している。
しかし、今回の消費増税に関しては、中小企業が増税分を適切に価格転嫁できるようにするために、例外として消費税転嫁対策特別措置法により、中小企業が共同で価格転嫁すること(「価格転嫁カルテル」)を認めることとなった。
今回の消費増税によって、スーパーなど流通各社が増税分の価格負担を拒否することがあれば、飲料メーカーは増税分の価格転嫁が出来なくなり、その負担がのしかかる可能性がある。
そこで、飲料メーカーにこのような負担がかかるのことへの対抗策として、清涼飲料工業会は、消費税転嫁対策特別措置法に基づき認められる「価格転嫁カルテル」の申請をしようと考えたものである。
価格転嫁カルテルでは商品の本体価格は縛れないので、業界で一律転嫁を決めても、商品によっては本体価格を下げることも考えられる。また、特定の小売店が価格を据え置くのであれば、他店も同様に価格を据え置かざるを得なくなり、増税分が店頭価格に反映しない可能性がある。
そのようなことになれば、「価格転嫁カルテル」自体が無意味なものとなりかねない。
このような点からすると、今回のような「価格転嫁カルテル」によって、飲料メーカーがその目的を果たせるかは、不透明である。
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