環境訴訟の行方、エゾナギウサギの保護とリゾート開発
2013/10/18 訴訟対応, 民事訴訟法, その他

事案の概要
自然保護団体「十勝自然保護協会」と道内の専門家などが原告となり、佐幌岳北斜面のスキー場造成の中止を求める訴状を札幌地方裁判所に提出した。スキー場の新コース造成によって、環境省のレッドリストで準絶滅危惧種に指定されているエゾナキウサギの生息地が破壊されるとして国と道が出した開発許可などの無効と工事中止を求めている。
コメント
野生動物の保護を目的とする代表的な環境訴訟といえば、アマミノクロウサギ訴訟が有名である。今回提訴された事案も、アマミノクロウサギ訴訟で下された判断との関係で注目を集めている。
アマミノクロウサギ訴訟第一審判決では、「わが国の法制度は、権利や義務の主体を個人(自然人)と法人に限っており、原告らの主張する動植物ないし森林等の自然そのものは、それが如何に我々人類にとって希少価値を有する貴重な存在であっても、それ自体、権利の客体となることはあっても権利の主体となることはないとするのが、これまでのわが国法体系の当然の大前提」であるとし、アマミノクロウサギの原告適格は認められず、その他の原告も原告適格(行政事件訴訟法9条2項)がないとされた。この裁判例を前提とすれば、今回の事案は、原告である自然保護団体「十勝自然保護協会」と道内の専門家に原告適格が認められるかどうかがまず争点になるであろう。
原告適格が認められるかどうかは事実関係によって定まるので、過去の裁判例どおりの判決が下されるとは限らない。また、企業側としてはこうした環境訴訟が提起されることによるイメージダウンが考えられる。消費者の環境意識の高まりは無視できない。自然開発を行う企業は、行政、環境団体、周辺住民等の関係者の意見を聴きながらより慎重な対応が求められるだろう。
関連サイト
関連コンテンツ
新着情報

- 業務効率化
- LAWGUE公式資料ダウンロード

- 解説動画
江嵜 宗利弁護士
- 【無料】新たなステージに入ったNFTビジネス ~Web3.0の最新動向と法的論点の解説~
- 終了
- 視聴時間1時間15分

- セミナー
板谷 隆平(MNTSQ株式会社 代表取締役/ 長島・大野・常松法律事務所 弁護士)
- 【オンライン】新サービス「MNTSQ AI契約アシスタント」紹介セミナー
- 終了
- 2025/04/22
- 14:00~14:30

- ニュース
- 全事業場へのストレスチェック義務化へ、労働安全衛生法等の改正について2025.8.21
- 今年5月に成立した改正労働安全衛生法により、事業場のストレスチェックが全ての事業場で義務化され...

- 解説動画
奥村友宏 氏(LegalOn Technologies 執行役員、法務開発責任者、弁護士)
登島和弘 氏(新企業法務倶楽部 代表取締役…企業法務歴33年)
潮崎明憲 氏(株式会社パソナ 法務専門キャリアアドバイザー)
- [アーカイブ]”法務キャリア”の明暗を分ける!5年後に向けて必要なスキル・マインド・経験
- 終了
- 視聴時間1時間27分
- 弁護士
- 平田 堅大弁護士
- 弁護士法人かなめ 福岡事務所
- 〒812-0027
福岡県福岡市博多区下川端町10−5 博多麹屋番ビル 401号

- 業務効率化
- Hubble公式資料ダウンロード

- まとめ
- 株主提案の手続きと対応 まとめ2024.4.10
- 今年もまもなく定時株主総会の季節がやってきます。多くの企業にとってこの定時株主総会を問題無く無...
- 弁護士
- 目瀬 健太弁護士
- 弁護士法人かなめ
- 〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満4丁目1−15 西天満内藤ビル 602号