アールエフ損賠訴訟でようやく和解 メーカー、解雇を撤回−−東京高裁
2013/10/02 労務法務, 労働法全般, メーカー

事案の概要
医療機器メーカー「アールエフ」(長野市)の社員Aさんが同社を相手取り、解雇無効や損害賠償などを求めた訴訟の控訴審は9月30日、東京高裁(原優裁判長)で和解が成立した。原告代理人によると、同社は原告勝訴の1審・長野地裁判決を認めた上で解雇処分を撤回して謝罪し、和解金を支払う。
営業職で大阪店に入社したAさんは、会議で社長に意見を述べたところ、2009年3月転勤を持ちかけられた。拒むと長野本社に異動となり、食堂の使用を禁止されたり、携帯電話の電波妨害装置を設置されたり、他の社員に集団で罵倒されるなどした後、解雇通告を受けた。
Aさんは「転勤は退職強要や嫌がらせが目的で、理由のない解雇も解雇権の乱用に当たり違法」などとして長野地裁に提訴。12年12月、同地裁は解雇は無効とした。同社は控訴したが、今年4月、同社が和解を提案した。
解雇は無効となったが、Aさんは退職した。
事案詳細
被告の従業員であり、本件配置転換命令を受けて配転先で勤務した後、解雇された原告A及び休職期間満了による退職となった原告Bが、被告に対し、本件配転命令後、被告が原告らを退職に追い込むため種々の精神的圧迫を加えたことなどが不法行為であるなどとして、不法行為に基づく損害賠償等を求めるとともに、原告Aが、本件配転命令は無効であるとして、配転先において勤務する労働契約上の義務がないこと等を求めた(第1・3事件)のに対し、被告が原告らに対し、原告らが被告から得た時間外手当等の支払には法律上の原因がないものが含まれているとして、その返還を求めた(第2事件)事案において、本件配転命令の経緯、本件配転命令後の原告らが置かれた状況及び本件解雇に至るまでの経緯からして、本件配転命令は、被告が原告らを退職に追い込む退職強要行為の一環として行われたことは明らかであるから、本件配転命令は、権利濫用によるものであり無効とすべきものであるなどとして、第1・3事件の請求の一部を認容し、第2事件請求を棄却した事案。以下、地裁判決引用判例。
最高裁判所第一小法廷 平成7年(オ)第2029号
平成12年3月9日
最高裁判所第二小法廷 平成13年(受)第1709号
平成15年10月10日
コメント
原告は4年以上も不当な解雇で苦しんできた。本件配転命令を含む退職強要行為は悪質そのものであり、到底許されるべきものではない。この裁判をきっかけに、今後同様の事案が発生しないことを願う。
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