下請けいじめはダメですよ!
2013/04/30   コンプライアンス, 下請法, その他

事案の概要

公正取引委員会は26日、株式会社日本旅行(東京都港区)に対し、下請法(下請代金の減額の禁止)の規定に違反したとして、再発防止を勧告した。

日本旅行は、海外旅行での宿泊施設、交通機関、食事などの手配等を下請業者に委託。しかし、下請業者に支払うべき、代金を「ボリュームインセンティブ」と称して、不当に減額していた。

同社は、下請業者に手配を委託し、旅行者数が一定数を超えた場合、一定の金額を業者に負担するように要請。要請に応じた下請業者について、上記金額を差し引いた下請代金を支払っていた。その額は2011年2月から2012年8月までの間に、下請業者18社に対し、約3000万円に及ぶ。日本旅行は、下請業者に対して2012年11月に減額分を返還しているという。

下請法(正式には、下請代金支払遅延等防止法)は、親事業者が下請事業者に業務を委託する場合、その優越的地位を利用して、下請事業者が不当に不利な立場に置かれることを防止するために制定された。2003年には規制される取引内容が、役務(サービス)の提供まで拡大され、下請事業者の保護の強化を図っている。

下請法違反に関する事件では、2012年9月に日本生活協同組合連合会が総額約39億円の違反行為をしたとして、公取委から再発防止の勧告を受け、これが過去最大の金額である。
今回の日本旅行の違反額は、それには遠く及ばないが、旅行業者が勧告を受けるのは、初めてという。

コメント

長引くデフレの中で、企業が安値合戦を行い、そのしわ寄せが、下請業者への過重な負担となって表れることが多い。政権交代後の円安基調、株価の上昇という傾向から、景気の先行きへの期待感が増しているが、親事業者と下請業者の関係が劇的に変わるなどとは考えられない。

コスト削減を重視するあまり、事故や不祥事を起こせば、企業の存立は覚束なくなる。関越自動車道の高速ツアーバス事故(2012年4月29日)は記憶に新しいところである。

下請業者を不当に扱わないということは、却って、親事業者の利益にもつながるという認識が必要である。

参考条文

下請代金支払遅延等防止法

(親事業者の遵守事項)
第四条一項 親事業者は、下請事業者に対し製造委託等をした場合は、次の各号(役務提供委託をした場合にあつては、第一号及び第四号を除く。)に掲げる行為をしてはならない。
三号 下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、下請代額を減ずること。

(勧告)
第七条二項 公正取引委員会は、親事業者が第四条第一項第三号から第六号までに掲げる行為をしたと認めるときは、その親事業者に対し、速やかにその減じた額を支払い、その下請事業者の給付に係る物を再び引き取り、その下請代金の額を引き上げ、又はその購入させた物を引き取るべきことその他必要な措置をとるべきことを勧告するものとする。

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