経団連が労働法制に関する政策提言を発表
2013/04/18 労務法務, 労働法全般, その他

事案の概要
経団連は16日、「労働者の活躍と企業の成長を促す労働法制」と題する政策提言を発表した。
雇用問題解決のためには、企業活動を活性化させ、経済全体を成長させる必要があり、そのためには労働法制の見直しを一気に実施すべきとしている。
現在の労働法制の課題として、労働者の実態に即していない労働時間管理の問題、厳格な雇用保障責任の問題、年功処遇の問題を指摘している。
そして、具体的な解決策として、例えば下記のような提言をしている。
・労使自治を重視した労働時間法制改革をしなければならない。
企画業務型裁量労働制(労働時間と成果、業績が必ずしも連動しない職種において 、労働者は実際の労働時間とは関係なく、労使であらかじめ定めた時間働いたものとみなされる労働形態)導入促進のための法律上の要件緩和をする必要がある。(労働基準法第38条の4参照)
・勤務地、職種限定契約における使用者の雇用保障責任ルールを透明化する必要がある。改正労働契約法で有期契約の無期転換制度ができたことから、勤務地や職種を限定した無期契約が増えると予想されるが、勤務地や職種限定の労働者に対する使用者の雇用保障責任は、一般に、限定されていない正社員と同列に扱われないという解釈がなされている。
したがって、紛争を予防するため、特定の勤務地ないし職種が消滅すれば契約が終了する旨を労働協約、就業規則、個別契約で定めた場合には、当該勤務地ないし職種が消滅した事実をもって契約を終了しても、解雇権濫用法理がそのまま当てはまらないことを法定すべきである。
この度の経団連の提言は、現在政府の進めている労働分野の規制改革とあいまって、議論を呼びそうだ。
コメント
現在、政府の産業競争力会議において、労働問題分野の規制改革が議論されている。この度の経団連の提言は、基本的にはこの議論を後押しするものと言える。
本提言は、労働者の雇用を確保するためには、企業活性化が不可欠であるとの前提に立っているので、どうしても企業目線で見た、労働法制の見直しの感は否めない。
労働者保護と、企業側の事情との間のバランスをどうとるかは、悩ましい問題であるが、この議論は私たちの働き方、ひいては生き方に関わる極めて重要な問題なので、注意深く見守っていきたい。
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