公正取引委員会、愛知電線会社の審査請求を棄却
2013/02/07   独禁法対応, 独占禁止法, その他

事案の概要

本件は、愛知電線会社(以下、被審人とする)が、他の事業者と共同して、販売業者に対して販売されるVVFケーブルの販売価格を決定していく旨を合意したことが、公共の利益に反して、我が国における特定VVFケーブルの販売分野における競争を実質的に制限していたものとして、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下、独占禁止法とする)第3条後段・2条6号のカルテル禁止規定に違反するとされた事案である。被審人は、課徴金納付命令に対して、課徴金減免請求の効果が認められるとして、課徴金納付命令のうち、減免分について同命令の取り消しを求めた。

本件の争点は、被審人の課徴金減免請求が、同請求の除斥期間である課徴金の立入検査が行われた日から20日(課徴金の減免に係る報告及び資料の提出に関する規則第5条)を経過していたか否かである。被審人は、同立入検査は、告知書の被疑事実等の記載が抽象的であり,特定VVFケーブルの取引を対象としたものかどうかが明確ではないため、立入検査の効果が認められないため、除斥期間が経過しておらず、実質的には課徴金減免請求の効果が認められると主張した。本審決では、告知書の記載は具体的であり、立入検査と認められると認定して、被審人の請求を棄却した。

コメント

課徴金減免請求制度の目的は、談合やカルテルは、秘密裏に行われ証拠の収集が困難なことから、違反者からのいわば「自首」による申告に課徴金の減免措置を行い、談合やカルテルの摘発を容易にし、独禁法違反行為の防止を図るものである。本件の事案では、告知書に記載された「電線・ケーブル」の文言が不明確であるかが問題となったが、一般的に考えて、「電線・ケーブル」にVVFケーブルが含まれることは明らかというべきであり、被審人の主張は、課徴金の免脱を目的とした主張であり、課徴金減免制度の保護に値しないというべきでないだろうか。

シェアする

  • はてなブックマークに追加
  • LINEで送る
  • 資質タイプ×業務フィールドチェック
  • TKC
  • 法務人材の紹介 経験者・法科大学院修了生
  • 法務人材の派遣 登録者多数/高い法的素養

新着情報

公式メールマガジン

企業法務ナビでは、不定期に法務に関する有益な情報(最新の法律情報、研修、交流会(MSサロン)の開催)をお届けするメールマガジンを配信しています。

申込は、こちらのボタンから。

メルマガ会員登録

公式SNS

企業法務ナビでは各種SNSでも
法務ニュースの新着情報をお届けしております。

企業法務ナビの課題別ソリューション

企業法務人手不足を解消したい!

2007年創業以来、法務経験者・法科大学院修了生など
企業法務に特化した人材紹介・派遣を行っております。

業務を効率化したい!

企業法務業務を効率化したい!

契約法務、翻訳等、法務部門に関連する業務を
効率化するリーガルテック商材や、
アウトソーシングサービス等をご紹介しています。

企業法務の業務を効率化

公式メールマガジン

企業法務ナビでは、不定期に法務に関する有益な情報(最新の法律情報、研修、交流会(MSサロン)の開催)をお届けするメールマガジンを配信しています。

申込は、こちらのボタンから。

メルマガ会員登録

公式SNS

企業法務ナビでは各種SNSでも
法務ニュースの新着情報をお届けしております。

企業法務ナビに興味を持たれた法人様へ

企業法務ナビを活用して顧客開拓をされたい企業、弁護士の方はこちらからお問い合わせください。