通信障害に対する行政指導
2013/01/07 法務相談一般, 民法・商法, その他

事案の概要
昨年末から年明けにかけ、KDDI(au)のスマートフォンやタブレット端末の通信サービスで連日障害(計4回)が発生した。 これらの障害発生は同社のホームページで告知されており、いずれの場合も影響が全国に及んだとされている。
・1回目(2012年12月31日午前0時~同4時23分) 4G LTE(※参照)対応端末でパケット通信を利用しづらい事態が発生、最大約180万人の利用者に影響が出た。
・2回目(2013年1月1日 午前0時12分~同2時29分) auスマートパスなどau IDを使った全サービス(au IDの新規登録、設定変更、サービス利用)をはじめ、auかんたん決済、iPadの電子メール設定、SNSサイトにおける年齢確認サービスを利用しづらい状況が続いた。
・3回目(同日午前9時30分~午後8時7分) 2回目と同じ障害発生。
・4回目(同月2日午前0時5分~同1時53分) 4G LTE対応端末でパケット通信障害が発生、Web閲覧やメール送受信ができなくなった。
※ LTEとは、Long Term Evolution(ロング・ターム・エボリューション)の略称で、新たな携帯電話の通信規格である。LTEは有線通信並みの高速通信が可能で、NTTドコモやソフトバンクも相次いで導入している。LTEは利用する周波数帯域や使用する帯域幅が3Gと共通でありながら、電波利用効率がより優れているため、混雑で通信速度が極端に遅くなっている3G回線の代わりに、この混雑を解消し、より高速な通信を実現する技術として注目を集めている。
総務省は同月4日、KDDI(au)に対して、再発防止策の提出などを求める行政指導の検討を始めた。
次世代サービスのLTEは顧客獲得の目玉の一つであるだけに、KDDIは原因究明と再発防止策を急ぐ。KDDI(au)社は「年末年始の通信混雑が原因となった可能性も含めて、調査中」としている。
通信障害は、2時間以上続き、3万人以上に影響した場合、電気通信事業法の「重大事故」にあたり、総務省が行政指導を行うことがある。11年末~12年2月には、NTTドコモやKDDIで重大事故が相次ぎ、両社とも行政指導を受けた。今回の通信障害では、1回目が重大事故にあたり、4回目は故障部分が同じであることから、総務省は「設備管理が十分ではなかった可能性がある」として、KDDIから事情を聴いて行政指導するかどうかを決める方針だ。
コメント
近年、スマートフォンの普及とそれに伴うアプリの利用増などによって、携帯電話のデータ通信量が急速に拡大していることから、通信キャリアにとって通信帯域(容量)の拡大が重要な課題となっていた。LTEはそのような課題を解消し、より高速な通信を実現する技術として注目を集めている。そのような期待の中、今回通信障害が発生してしまった。
突発的な災害等でない、年末年始の恒例行事において発生してしまったこの障害について、その規模の大きさ等から総務省も重く考えているように思われる。
もっとも、今回の事態を受けて同省がKDDI(au)に対して行ったことは行政指導である。
つまり、あくまで事態改善は同社の任意に委ねられたことになることになる。
大規模災害(大地震など)発生時における通信の重要性は、先の東日本大震災においても十二分に証明されている。同震災の教訓の下、同社には安定かつ迅速な通信に向けた真摯な努力が期待される。
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