「週刊現代」の記事をめぐる島田紳助さんの請求退ける 東京地裁
2012/11/07   訴訟対応, 民事訴訟法, その他

事案の概要

「週刊現代」の記事で名誉を傷つけられたとして、元タレントの島田紳助さんと吉本興業が、発行元の講談社に計1億65000万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が30日に言い渡され、東京地裁は、吉本興業に110万円を支払うよう命じた。一方、島田さんの請求はすべて退けた。

週刊現代は昨年10月15日号で、「紳助、あんたはヤクザだ」と題する記事を記載し、「島田さんが不動産取引を行う際に暴力団関係者を同席させていた」と報じた。
また、吉本興業についても「島田さんと暴力団との密接な関係を知りながら、所属契約を継続した」と報じたことから、両者が法的措置に踏み切ったものである。

判決において、本多知成裁判長は、吉本興業についての記載は、同社の社会的評価を低下させるもので違法と判断。
しかし、島田さんの交渉に同席したとされる建設会社社員らに対する取材内容については、「具体的かつ詳細で、内容に不自然な点はない」と指摘した上で、「記事の重要部分を真実と信じる相当の理由があった」と認め、不法行為責任を否定した。

島田さん側は、控訴の意向を示している。

コメント

今回の訴訟は民事訴訟であるが、刑法と違い、民法には「名誉毀損」の成立要件について明文で規定したものはない。(民法723条参照)
しかしながら判例は、個人の名誉権保護と表現の自由との調和の見地から、名誉毀損による不法行為責任の成否についても、刑法230条の2の趣旨を類推した上での要件を設けている。

すなわち、今回のような「事実」を摘示する記事については、
①その行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、②その目的が専ら公益を図ることにあった場合に、③摘示された事実がその重要な部分について真実であることの証明があったときには、右行為には違法性がなく、不法行為は成立しないとし、
仮に右事実が真実であることの証明がないときにも、行為者において右事実を真実と信ずるについて相当の理由があれば、その故意又は過失は否定され、不法行為が成立しないとする。
(最判S41.6.23、最判S58.10.20参照 )

上記3要件の証明責任を負う出版社等のメディアは、訴訟リスクを踏まえ、取材対象者の選定の妥当性やその聞き取り内容の正確性等を裏付ける取材資料をしっかり保存しておく必要があるだろう。

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