尖閣諸島をめぐる反日デモの影響
2012/09/19 海外進出, 外国法, その他

概要
尖閣諸島の国有化に対する大規模な反日デモは激しさを増し、日系企業に大きな影響を及ぼしている。現地の日本企業では、操業の見合わせや、日本人従業員の自宅待機等の対応を迫られた。
日本で12月新型ゲーム機「Wii U」を発売予定の任天堂は、電子部品メーカーであるミツミ電機から部品を調達しているが、同社の山東省青島市にある製造子会社が被害を被った。ミツミは部品供給のため、中国の別工場で代替生産を始めるとしている。中国に100カ所近くの拠点を持つパナソニックでは、広東省珠海市のモーター工場等4つの拠点が被害を受けた。一部を除いて生産再開のメドは立っておらず、日本等で代替生産を検討し始める。ヤマダ電機は南京・瀋陽・天津の3店舗を、吉野家は北京や瀋陽等にある10店以上を休業にした。中国でユニクロ145店を展開するファーストリテイリングは18日、北京等60店の営業を停止した。
日本製品の不買運動も加速化している。シチズン時計は中国での売上が日本を除くアジア地域の半分を占めるが、18日時点で百貨店等自社製品を扱っている販売店の2割が営業自粛に追い込まれた。中国の病院では、日本企業の医療器具の調達を控える動きが出ており、医療機器の製造・販売会社も今後の影響を懸念しているという。
日中関係の悪化が長引けば、①現地法人の業績悪化による企業の収益低下②中国の訪日旅行客の減少に伴う国内での売上の停滞③対中輸出の減少等により、景気悪化が避けられない。中国では、激しい格差拡大で低所得者層を中心に国民の不満が高まっており、デモが収束するまでには時間がかかるとの指摘もある。
コメント
一連の反日デモの拡大は、中国経済へも打撃を与えかねない。暴徒が次々と日系企業を襲撃したことにより、中国投資のリスクが露呈し、日系企業が東南アジア等に拠点を移す動きが加速化することが予想される。日本からの対中投資は1~7月に前年同期比19%増の47億3千万ドルと、香港を除いて地域別のシェアもトップである。欧州債務危機の影響で世界から中国への投資が冷え込む中、日本からの投資まで落ち込めば、外資導入で成長をめざす地方都市がまず影響を受ける。領土問題はナショナリズムを掻き立てるが、無用な感情的対立は双方にとって決して利益にはならないことを再確認して欲しい。
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