英スタンチャートNY支店:イランと不正取引-免許停止の可能性
2012/08/07 海外法務, 外国法, 金融・証券・保険

事案の概要
米ニューヨーク(New York)州の金融当局は6日、英大手銀行スタンダード・チャータード(Standard Chartered)が米国の経済制裁の対象になっているイランの金融機関と過去10年間で総額約2500億ドル(約19兆6000億円)に上る不正取引を行い米国のマネーロンダリング(資金洗浄)防止法に違反したと発表した。
州当局はスタンダード・チャータードに取引の実体を説明するよう命令し、内容次第で罰金や州内での営業免許の取り消しもありうるとしている。
州当局は、スタンダード・チャータードのニューヨーク支店は、イラン中央銀行など米政府の制裁の対象となっている金融機関との間で2001年から10年間にわたり約6万件の取引を金融当局に隠したまま行い、これにより同行は数億ドル規模の手数料収入を得たと指摘。
一方、スタンダード・チャータードは、州当局の指摘は事実を正確に示しているとは考えないとの声明を発表した。
コメント
今回の摘発の背景には、アメリカ政府が昨年、イランの核開発に圧力をかけるため、イラン中央銀行と取引する外国の金融機関に制裁を科す法律を成立させるなど、イランへの締め付けが強まっていることがある。
組織的に取引の隠蔽が行われていたと指摘されていることから、内部統制システムや監査の問題も問われる可能性がある。
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