社外取締役は「不設置理由の開示義務」のみ 会社法改正要綱案
2012/08/02 商事法務, 会社法, その他

概要
日本企業の相次ぐ不祥事を受けて導入が検討された社外取締役設置義務化は、先月18日の法務省法制審議会で導入が見送られる方針が固まっていたが、1日、これを踏まえた会社法改正の要綱案が決められた。本案は9月に法務大臣に答申され、法務省は今秋に開かれると見られる臨時国会での法案提出を目指すと見られる。本改正案が可決されれば、2005年の会社法成立以来の改正となる。
今回の要綱案における社外取締役に関する主な言及は以下の通りである。
・社外取締役を選任しない場合にはその理由を株主総会に提出する事業報告書で開示を義務付けることとする
・親会社役員や子会社役員の2親等以内の近親者は社外取締役となることが出来ない、との規定を追加
・社外取締役が過半数を占める監査・監督委員会設置会社制度を新設
・付帯決議として、証券取引所の上場規則で社外取締役を1人以上選任する努力義務を定めるよう要望する
この他、親会社株主が子会社取締役の責任を追及できる「多重代表訴訟制度」の創設も盛り込まれている。
コメント
かくして、日本企業のコンプライアンスに対する信頼回復は企業の自助努力に委ねられることとなった。社外取締役の導入が義務付けられている欧米の主要国制度との比較で考えると、この方針決定は海外からの厳しい目線に耐えうるものであるかは疑問が大きい。しかし、企業自身が企業統治の実効性を高めていかなければならず、法制度の整備はあくまでその前提に過ぎない…という点に関しては、まさに「自助努力」が求められているのは間違いない。
損失隠しが長年明らかにならなかったオリンパスには、社外取締役が3人もいた。会社を動かすのは、制度ではなく人である。
【関連リンク】
法制審議会会社法制部会第24回会議(平成24年8月1日開催)部会資料27(会社法制の見直しに関する要綱案)
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